検索
ニュース

SAR型で分解能24bit、2Mspsを実現したADCSN比は最大145dB!(1/2 ページ)

リニアテクノロジーは2015年11月4日、逐次比較(SAR)型A-Dコンバータ(ADC)として分解能24ビット、サンプリングレート最高2Mサンプル/秒(sps)を実現した新製品「LTC2380-24」の販売を開始した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 リニアテクノロジーは2015年11月4日、逐次比較(SAR)型A-Dコンバータ(ADC)として分解能24ビット、サンプリングレート最高2Mサンプル/秒(sps)を実現した新製品「LTC2380-24」の販売を開始したと発表した。同性能のシグマデルタ(ΣΔ)型ADCよりも消費電力が10分の1以下であるとの利点を押し出し、電子顕微鏡や地震計、検査装置などの用途へ展開する。

 SAR型ADCは、一般にΣΔ型ADCに比べ、サンプリング速度が速く、消費電力を抑えやすいという利点がある。逆に、高分解能を確保しにくいという欠点がある。一般に、SAR型ADCの最大分解能は18ビット程度とされる場合が多い。一部では、20ビットを上回る高分解能のSAR型ADCも登場しているが、SAR型の利点である高速サンプリングを犠牲にした低速ADCが多かった。

20ビット分解能で1Mspsの「LTC2378-20」がさらに進化

 そうした中で、リニアテクノロジーは2013年に20ビット分解能で1Mspsを実現したADC「LTC2378-20」を製品化した。LTC2378-20は、トランジスタ素子レベルから設計を実施したADCで、INL(積分非直線性)誤差を標準値で0.5ppm、最大でも2ppmに抑えた製品。低いINL誤差により、全高調波歪率も−125dB(標準値)と低く、ランダムノイズの影響を抑えるため変換信号を平均化するフィルタリング処理を行わずに、標準104dBのSN(信号対ノイズ)比を実現していた。

・関連記事:日本人が開発! INL誤差0.5ppmを達成した20ビット/1MspsのA-Dコンバータ

「LTC2380-24」
「LTC2380-24」の外形イメージ。20ビットADC「LTC2378-20」と同一パッケージを採用する

 このほど発売したLTC2380-24は、SAR型ADCでより高い分解能に対応すべく、INLに優れるLTC2378-20をベースに分解能24ビットを実現した製品だ。最高のサンプリングレート2Msps時のSN比は101dBを誇るが、高い精度を求める用途では物足りない場合もある。そこで、LTC2380-24は、変換信号を平均化するデジタルフィルターを内蔵。サンプリングレートを抑えることで高いSN比を実現する機能を提供する。

30.5spsで145dBのSN比!

 変換信号を16回分を平均化する場合(=オーバーサンプリング比16)でのSN比は、113dBに向上。オーバーサンプリング比2048まで高めると、出力サンプリングレートは、1kspsとなるが、134dBという高いSN比を実現できる。内蔵するデジタルフィルターは、オーバーサンプリング比1〜6万5536まで選択でき、最大の6万5536の場合、出力レート30.5spsで145dBのSN比を達成する。なおオーバーサンプリング比1、すなわち平均化しない場合(シングルコンバージョン時)の最大出力レートは1.5Mspsとなる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る