抵抗変化メモリとGaNデバイス:福田昭のデバイス通信 IEDM 2015プレビュー(4)(2/3 ページ)
今回のプレビューでは、セッション7〜9を紹介する。セッション7では抵抗変化メモリ(ReRAM)の信頼性に関する発表が相次ぐ。セッション8では、3次元集積回路の製造技術がテーマだ。セッション9では、富士通と東京工業大学が試作した、96GHzの周波数で出力が3W/mmと高いInAlGaN/GaN HEMTなどが発表される。
InGaAs FETとSiGe FETをモノリシック積層したCMOS回路
セッション8(プロセス技術と製造技術)のテーマは「3D集積化とバックエンド」である。かつては3次元(3D)集積回路の製造技術ではウエハーの貼り合わせが主流だった。今回は、ウエハー貼り合わせ技術に加え、モノリシックに3次元(3D)の集積回路を実現しようとする試みが目立つ。
東北大学とXilinxの共同研究グループは、Cuフィラメントと異方性導電フィルムを利用した高密度かつ多ピンのウエハー貼り合わせ技術を報告する(講演番号8.2)。熱圧着のウエハー貼り合わせによって直径3μmのCu電極を13万6800本、形成した。
東京工業大学とディスコの共同研究チームは、2Gビット DRAMを形成した300mmウエハーを2.6μmまで薄くする技術を開発した(講演番号8.3)。ウエハーを薄くしていったときに、厚みが5.6μmまではDRAMの電荷保持特性で劣化はまったく見られなかった。厚みが2.6μmのときは、電荷保持特性が劣化した。
ドイツのIBM Researchと米国のIBM T.J. Watson Research Centerは、絶縁基板の上にInGaAs nチャンネルFETとSiGe pチャンネルFETをモノリシック積層した3次元のCMOS回路を製造した結果を共同で発表する(講演番号8.8)。トップ層がInGaAs、ボトム層がSiGeである。トップ層の形成によってボトム層のトランジスタ性能は劣化していない。CMOSインバータを試作して電源電圧0.25Vで動作を確認した。
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