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量子ドットセンサー、CMOSセンサーの脅威に?米企業開発のイメージセンサー(1/2 ページ)

米国のInVisage Technologiesが、量子ドットフィルムを用いたイメージセンサー「Quantum13」を発表した。同社は「Quantum13は、シリコン(Si)のイメージセンサーの性能に勝る」と強調している。

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 米国のInVisage Technologiesが、シリコンの代わりに量子ドットフィルムを使用して画像をキャプチャーする13Mピクセルのセンサー「Quantum13」を発表した。同社は、これまで9年間にわたり、1億米ドルを超えるベンチャー投資資金を調達して開発に取り組んできた。

 最初のターゲットとして、スマートフォン市場に狙いを定めるという。ただし同社は、「Quantum13は、CMOSイメージセンサーに対して、全てとはいえないにしてもほとんどの仕様において勝っていると主張する。

 InVisage Technologiesは、2006年の設立以来、シリコンに代わる感光性材料の開発に取り組んできた。同社は2015年11月11日(中国時間)、中国 北京において、シリコンの代わりに量子ドット材料を使用して光検出を行う電子イメージセンサーを発表した。同社は「世界初」としている。

シリコンイメージセンサーの脅威になるのか

 InVisage Technologiesが主張しているように、量子ドットをベースとした光センシングの方がシリコンフォトダイオードより優れているのであれば、携帯電話機向けカメラの売上高が増加したおかげで巨大市場を築き上げることに成功してきたCMOSイメージセンサーは、終えんに向かい始めていることになるのだろうか。同社は、「Quantum13は、シリコンイメージセンサーを衰退へと導くことになるだろう」と主張している。

「Quantum13」
「Quantum13」のイメージ 出典:InVisage Technologies

 InVisage Technologiesは、今回北京で行った発表イベントにおいて、Quantum13センサーを搭載した試作スマートフォンのデモを披露した。同社のCEO(最高経営責任者)であるJess Lee氏は、試作スマートフォンを手掛けたメーカー名については明かそうとしなかったが、EE Times Europeの取材に応じ、「現在、Quantum13のサンプル出荷を開始している。2015年第4四半期には、複数の顧客企業に向けて量産を開始する予定だ」と述べている。

 Lee氏は、「量子ドット材料は、II-VI族の金属カルコゲナイドを用いた広帯域光吸収体だ。光学的に透明なキャリア材料の中で結合させた材料のナノスケール微粒子を用いて、量子を閉じ込めると、極めて効率の高いフォトダイオードが出来上がる。これにより、既存のシリコンフォトダイオードのアクティブエリアよりも薄い薄膜を実現することができる。シリコンフォトダイオードに必要な厚みが2μm〜3μmであるのに対し、量子フィルムはわずか0.5μm程度で済む」と述べる。

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