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模様だけで物体を識別できる? NECの先端技術ET 2015優秀賞を獲得(1/2 ページ)

NECは、2015年11月18日〜20日に開催された「組込み総合技術展 Embedded Technology 2015(ET2015)」&「IoT Technology 2015」で、同社の技術を紹介する展示を行った。

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 NECは、2015年11月18〜20日に開催された「組込み総合技術展 Embedded Technology 2015(ET2015)」&「IoT Technology 2015」で、同社の技術を紹介する展示を行った。本記事では、「先端技術」コーナーで展示されていた物体指紋認証技術、IoT向け認証暗号技術「OTR」、顔認証ソリューション「顔跡/KAOATO」とカラーバーコード「カメレオンコード」を用いた顔認証システムを紹介する。

模様で個体を識別?


ET 2015で展示されていたネジを個体識別するデモ。スマートフォンやタブレット端末のカメラ部分に専用のアタッチメントを取り付けて撮影するだけで、物体認証を可能にするという (クリックで拡大)

 最初に紹介するのは、製品の個体識別を実現する「物体指紋認証技術」である。同技術は、金属やプラスチック製品の表面に自然発生する微細な模様を画像認識し、クラウドを介して事前に登録したデータベースと照して個体や製造元を識別する。

 従来は、識別用のタグや特殊加工を施すといった手段が用いられていたが、小さい製品にはタグを付けるのが難しく、膨大なコストと時間を要していた。NECは、同社が以前から研究開発を進める画像識別技術を応用し、プラスチックや皮革など多様な物質の表面でも、光沢性や模様の濃淡など識別性の高い特長を抽出して認識する技術を開発した。これにより、部品表面の識別を低コストかつセキュアに行うことができるという。

 また、同技術の特徴的な点は、スマートフォンやタブレット端末のカメラに専用のアタッチメントを付けて撮影するだけで、物体指紋認証を可能にする点である。特殊な分析装置や専門家の分析が不要となり、カメラを搭載した汎用端末さえあれば、誰でも、いつでも、どこでも製品を識別/認証できるとしている。「現在は1万個の識別が可能だが、論理的には1億個の識別が可能である」(同社)とした。

 同社によると、「同技術の識別は、長い期間を経て劣化したり、きれいに磨かれたりすると識別が厳しくなってしまう。人間の指紋と同様で、当たり前だが模様が残っていないと識別はできないが、模様が2/3ほど残っていれば識別できるだろう」と語る。

 同技術は2014年11月に発表され、現在は実証実験が行われている段階という。バッグや財布など服飾製品の部品や、ネジやボルトなど小さい部品など向いている。今後は、小さな部品で個体の識別が求められる幅広い用途で展開していくとしている。既に、「米国ベビー用品メーカーの抱っこひもに採用が決定している」(同社)とした。

認証暗号技術「OTR」


認証暗号技術「OTR」の概要 (クリックで拡大)

 次に紹介するのは、同社が2015年7月に発表したIoT向け認証暗号技術「OTR」である。暗号による情報の保護には、元の情報を秘匿する「暗号化」と、情報の改ざんを検知する「認証」の2つがある。IoTは特に、ネットワークの大規模化と多様なセンサーと機器が接続することで、効率的な暗号化と認証が求められる。一般的には、暗号化と認証のデータ処理は別々に行う必要があり、それぞれ同程度のデータ処理量が必要となる。つまり、認証暗号は暗号化のみの場合と比べてデータ処理量が約2倍となり、データを扱う機器やセンサーの処理性能も2倍必要になるため、認証暗号の利用が困難となっていた。

 OTRは、固定長のデータで暗号化を行う既存の暗号化方式「ブロック暗号」の適用方法を工夫し、データ処理量を約1/2に低減。また、データ受信時の復号処理においても暗号化のときに利用するブロック暗号の「暗号化関数」を用いるため、「復号関数」が不要となり、プログラムや回路規模の増大を抑えるという。

 同社が、OTRと米国の国立標準技術研究所(NIST)に制定された暗号化規格「AES」と組み合わせて開発した認証暗号「AES-OTR」が、NISTの支援で行われている技術審査会「コンペティションCAESAR」で、第1次選考を通過。2016年に最終候補が選出され、2017年12月に次世代認証暗号が決定される予定である。

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