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ルネサス 自動運転車の頭脳となる次世代SoC発表「自動運転レベル2、3を超えることができる」(1/3 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは2015年12月2日、車載情報システム向けSoC「R-Carシリーズ」の第3世代品を発表した。2018年以降に市販される自動車への搭載を見込んだ製品群。第1弾製品として同日、サンプル出荷を開始した「R-Car H3」は“自動運転時代のSoC”と位置付けたハイエンド品で、最先端となるTSMCの16nm世代FinFET+プロセスを採用し、高性能な処理能力を盛り込んだ。

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 「自動運転レベル2やレベル3を超えることのできるSoCだ」。

 ルネサス エレクトロニクス 車載情報システム事業部車載情報戦略部長を務める吉田正康氏は、2015年12月2日にサンプル出荷を開始した車載情報システム向けSoC「R-Car H3」が持つ可能性をこう表現した。

 “レベル2”“レベル3”とは、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)や国土交通省などが定義する自動運転の度合いを示す水準を指す。レベル2とは「加速、操舵(そうだ)、制動のうち複数の操作をシステムが行う状態」、レベル3とは「加速、操舵、制動を全てシステムが行い、システムが要請したときはドライバーが対応する状態」と定義される。

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)などが定義する自動運転レベル
自動運転レベル 概要 実現するシステム
レベル 1 加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う状態 安全運転支援システム
レベル 2 加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態 準自動走行システム 自動走行システム
レベル 3 加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときはドライバーが対応する状態
レベル 4 加速・操舵・制動を全てドライバー以外が行い、ドライバーが全く関与しない状態 完全自動走行システム

 ちなみにレベル1は、「加速、操舵、制動のいずれかをシステムが行う状態」であり、アシストブレーキシステムなどはレベル1に相当し『安全運転支援システム』に分類される。一方で、レベル2〜3は、『準自動走行システム』あるいは『自動走行システム』となる。

『完全自動走行システム』の1歩手前まで

 ルネサスが今回、発表したSoCは、このレベル2〜3の自動運転、言い換えれば「加速、操舵、制動を全てドライバー以外が行いドライバーが全く関与しない状態」という“レベル4”の『完全自動走行システム』の1歩手前の自動運転システムを可能にするデバイスであるというのだ。

 レベル2〜3の自動運転を実現するクルマの頭脳となるべくR-Car H3には、かなり高性能なコンピューティング能力が盛り込まれた。


車載情報システム向けSoC「R-Car H3」の特徴 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 まず、製造プロセスは、システムLSIとしては最先端微細プロセスといえるTSMCの16nm FinFET+プロセスを採用した。CPUコアには、64ビットCPUコアであるARM Cortex-A57と同A53を各4コア搭載。前世代の「R-Car H2」の1.6倍となる4万DMIPS(Dhrystone MIPS)以上のピーク処理性能を実現した。


「R-Car H3」と前世代品(R-Car H2)での主な性能比較 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

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