おもてなしは最先端のユニバーサルデザインで:“五つ星”の羽田空港で実証実験がスタート(2/3 ページ)
羽田空港で、最先端のユニバーサルデザインを用いた実証実験が始まる。年々増える外国人観光客など、空港利用客に“最高のおもてなし”を実現すべく、パナソニック独自の「光ID技術」やNTTの「音声処理技術」といった最新技術を駆使している。
プロジェクションマッピングで、混雑緩和
NTTは、チェックインカウンターが並ぶ一角に、プロジェクションマッピングを用いた巨大な案内サインを設置し、これを人流誘導に用いる。人の流れをビッグデータ解析技術で分析し、案内の内容を動的に変更できることが特徴だ。まずは混雑の緩和を目的とする。例えば、中央出国口に近いチェックインカウンターが混雑し始めたら、「これから、中央出国口は混雑します」「北出国口は、比較的空いています」といった案内を表示するという。
NTTは、液晶ディスプレイを使った表示ではなく、プロジェクションマッピングを用いた理由について、「投影面積は、縦2m、横9mほどある。これくらいのエリアに液晶ディスプレイを設置しようとすると、ディスプレイの重さだけで1トン近くなるため、設置場所に補強工事などが必要になってしまう。その点、このプロジェクションマッピングは、偏光フィルムを貼っているだけなので、余計なコストがかかることもなく、投影場所の変更も簡単だ」と説明した。
音量を動的に変更できる音声案内
トイレやエスカレータ付近の音声案内に適用する予定なのが、NTTの音声明瞭化技術だ。こうした場所では目が不自由な人のために「こちらは男子トイレです」「Watch your step(足元に気を付けてください)」などの音声が流れるが、空港内は周囲の雑音が大きく聞き取りにくいことも多い。
NTTの音声明瞭化技術は、フライト関連のアナウンスが流れるなど、雑音が大きくなった時にのみ、特定の周波数の音量を上げて、聞き取りやすくする。NTTは「音声案内の内容や言語ごとに、聞き取りやすい周波数というのがある。その周波数の音量のみを上げ、反対に、雑音に埋もれてしまってどう処理しても聞き取れない周波数の音量は下げる。こうした処理をすることで、全体の音量自体は変えずに、聞き取りやすさのみを向上することができる」と説明する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.