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大比表面積・高結晶性炭素材料、東北大らが開発空気電池など次世代蓄発電デバイス向け(1/2 ページ)

東北大学 金属材料研究所の加藤秀実教授らは、高い結晶性と大比表面積を併せ持つ、オープンセル型ポーラス炭素の開発に成功した。リチウムイオン電池の性能向上や空気電池など次世代蓄発電デバイスの開発につながるものと期待される。

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 東北大学 金属材料研究所の加藤秀実教授は2015年11月、TPR工業及び電気機器メーカーと共同で、高い結晶性と大比表面積を併せ持つオープンセル型ポーラス炭素の開発に成功したことを発表した。研究成果は、リチウムイオン電池の性能向上や空気電池など次世代蓄発電デバイスの開発につながるものと期待される。

 電気二重層キャパシタやリチウムイオン蓄電池、燃料電池などの蓄発電デバイスでは、電極や集電体などの部材として、カーボンブラックや活性炭、黒鉛(グラファイト)といった炭素材料が用いられる。今回開発に成功したオープンセル型ポーラス炭素もその1つである。従来材料に比べて、大きな比表面積と接点抵抗の低減を同時に達成できる。さらに、大量生産が可能であることも大きな特長である。

 加藤氏らの研究グループは、酸・アルカリ水溶液の代わりに金属溶湯を用いた独自の新しい脱成分技術を開発しており、これまでにさまざまな卑金属のオープンセル型ナノポーラス体を製造してきた。今回はこの脱成分技術を炭素材料に応用した。

 研究グループは、炭素とマンガンから成る合金(炭素マンガン合金)を800℃のビスマス溶湯に浸漬し、マンガン成分のみをビスマス溶湯内で選択的に溶出させる脱成分処理を行った。ここで得られた試料を硝酸水溶液中に浸漬し,ビスマスなど炭素以外の成分をイオン化して除去した。これをろ過し、純水洗浄、乾燥することでポーラス炭素粉末の回収に成功した。


金属溶湯脱成分法を用いた高結晶性オープンセル型ポーラス炭素の作製工程イメージ (クリックで拡大) 出典:東北大学

開発した高結晶性オープンセル型ポーラス炭素粉末の外観 出典:東北大学

 開発したポーラス炭素は,炭素材料の作製プロセスとしては、比較的低温(800℃)でありながら、高い黒鉛化度を有することが分かった。このポーラス炭素を走査型電子顕微鏡で観察したところ、気孔率が大きい部分と小さい部分を確認することができた。気孔サイズの分布測定から、開発したポーラス炭素は3nm近傍をピークとするメソ気孔分布と,30nm近傍をピークとするメソマクロ気孔分布からなるポーラス構造であることが分かった。これらの構造から、電気化学的反応に必要不可欠となるガスや液体等の物質輸送性に優れているとみられる。

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