中国企業がFairchildの買収合戦に乗り出す:ON Semiconductorを上回る金額を提案
ON Semiconductorによる24億米ドルの買収提案を受け入れたばかりのFairchild Semiconductor Internationalに、中国政府系企業が買収を持ちかけてきたという。ON Semiconductorを上回る24億6000万米ドルを提示したとされている。
ある中国政府系企業が、半導体メーカーFairchild Semiconductor International(以下、Fairchild)の買収合戦に参入してきたという。Fairchildは2015年11月に、ON Semiconductorからの買収オファーを受け入れたばかりだ。
Fairchildは2015年12月8日(米国時間)、約24億6000万米ドル(1株当たり21.7米ドル)での敵対的買収の申し出を受けたことを明らかにした。ON Semiconductorが2015年11月18日に発表した買収金額は、約24億米ドルだった。
Fairchildは、買収を提案してきた企業名については明かしていない。Bloombergの報道によれば、今回の買収提案は、中国の国営企業であるChina Resources Holdingsや、投資企業Hua Capital Managementなどを含む、コンソーシアムによって行われたとされている。Hua Capital Managementは2015年4月に、OmniVision Technologiesを買収すると発表していたが、その手続きは現在もまだ完了していないという。
Fairchildは、今回の予期せぬ買収提案について、取締役会で法律顧問や財務顧問とともに検討する予定だという。ただし取締役会としては、ON Semiconductorからの買収提案を受け入れる姿勢を崩すつもりはないとしている。
相次ぐM&A
2015年の半導体業界では、合併買収が記録的に増加している。今回の中国企業による買収提案も、そのさなかに提示されたものだ。米国の市場調査会社であるIC Insightsによると、半導体業界で2015年に発表された合併買収の合計金額は、1020億米ドルを少し上回るまでに増加したという。
近年、企業規模や対応範囲の拡大を狙う半導体メーカー各社が、半導体企業をめぐる買収合戦をごく普通に繰り広げるようになってきた。買収ターゲットとなる企業の数が減っていることから、買収価格は徐々に上昇してきている。
買収合戦に積極的な中国
今回の買収合戦では、半導体業界へのより一層の進出を狙う中国国営企業の存在が、あらためて強調されたといえる。別の中国企業コンソーシアムは、Integrated Silicon SolutionsをめぐってCypress Semiconductorと買収合戦を繰り広げた。結局、中国企業コンソーシアムが買収することになり、2015年12月7日に完了したところだ。
さらに別の中国国営企業も2015年初めに、メモリチップメーカーであるMicron Technologyを230億米ドルで買収するとの提案を非公式で申し出ている。しかし最終的には、外国投資委員会(CFIUS:Committee on Foreign Investment in the U.S)による認証を得られないとの懸念を理由に、交渉は決裂に終わったという。
Bloombergの報道によると、中国政府は、現地企業や報道機関に向けて、「中国の半導体産業の拡大に向けて、今後10年間で1500億米ドル以上を投じていく予定だ」とする声明を発表したとされている。
Fairchildは、1957年に設立された最も歴史ある優れた半導体メーカーの1つだ。1987年にNational Semiconductorによって買収されたが、1997年には再び独立企業としてスピンアウトされたという経歴を持つ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 中国半導体メーカー、マイクロンに230億ドルで買収案
中国半導体メーカーのTsinghua UniGroupが、Micron Technologyに、230億米ドル(約2兆8290億円)で買収を持ちかけているという。米Wall Street Journalが報じた。 - M&Aの高まりに危機感を覚える台湾メーカー
半導体業界では、世界的にM&Aが進んでいる。この動きに取り残されるのではないか、と危機感を覚えているのが台湾メーカーだ。 - 1+1を4にする! 新生NXPの日本法人が会見
NXP Semiconductorsの日本法人は2015年12月9日、Freescale Semiconductorの買収、統合後の事業戦略に関する説明会を実施した。 - FreescaleとNXPの合併から学ぶべきこと(前編)
間もなく、NXP SemiconductorsによるFreescale Semiconductorの買収が完了する。売上高約1.2兆円という超巨大企業の誕生は、半導体業界にどのような影響を与えるのだろうか。そして、今回の買収から、半導体業界は何を学べるのだろうか。