5Gの携帯電話技術とミリ波通信用周波数生成技術:福田昭のデバイス通信 ISSCC 2016プレビュー(1)(2/2 ページ)
今回から、2016年1月から2月にかけて米国で開催される半導体関連の国際学会「ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference)」を紹介していく。基調講演は、ムーアの法則や5G携帯電話、自動車通信などがテーマになっている。
ミリ波通信向けの周波数生成技術
2月1日の午後1時30分からは、いよいよ一般講演のセッションが始まる。セッション2からセッション6までの5本のセッションが同時並行に進行する。メインテーマはセッション2が「RF」、セッション3が「ワイヤライン通信(有線通信)」、セッション4が「デジタル・アーキテクチャ」、セッション5が「アナログ」、セッション6が「イメージャ/MEMS/医療/ディスプレイ」である。
セッション2のサブテーマは「RF周波数生成技術」。GHzからTHzと高い周波数の信号を生成する回路技術や、電圧制御型発振器(VCO)などの開発成果が報告される。University of California, Los Angelesなどの共同開発チームは、0.56THzと極めて高い周波数の信号を生成するPLL回路技術を発表する(講演番号2.1)。またOregon State Universityは、ミリ波生成アレイ向けに28GHzでジッタが104フェムト秒と低いPLL技術を報告する(講演番号2.2)。
セッション3のサブテーマは「超高速トランシーバ」である。このセッションでは、銅ケーブルや光ファイバ・ケーブルなどの有線ケーブルを使用した通信回路の開発成果が発表される。日立製作所は、銅ケーブルの損失が50dBもありながら、25Gビット/秒と高速に信号をやりとりするシリアルリンク・トランシーバを報告する(講演番号3.3)。富士通研究所とソシオネクストは共同で、56Gビット/秒と高速で247mW/レーンと低消費のトランシーバを発表する(講演番号3.5)。
(次回に続く)
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