3D積層に向けたバンプ形成技術、3社で共同開発:SEMICON Japan 2015会場レポート
JSRと日本IBM、千住金属工業の3社は、「SEMICON Japan 2015」において、300mmウェハー対応のIMS(Injection Molded Solder)技術とこれに対応する材料/装置などを共同展示した。
JSRと日本IBM、千住金属工業の3社は、「SEMICON Japan 2015」(2015年12月16〜18日、東京ビッグサイト)において、300mmウェハー対応のIMS(Injection Molded Solder)技術と、これに対応する材料/装置などを共同展示した。2016年4月以降にも関連製品の出荷を始める予定である。
IMSは、IBMが開発した半導体高密度実装用のバンプ形成技術である。最先端ICでは、極めて微細な加工プロセスを用いて技術革新を進める方法と、複数のICチップを積層する3次元実装技術などで機能や性能を高めていくアプローチが進んでいる。IMS技術は後者を可能とする接合技術の1つである。
IMSの製造方法は、まずウェハー上にレジストでマスクを形成し、IMSヘッドから圧力のかかった溶融はんだを、マスク開口部に直接注入し埋め込む。これによって、微細なはんだバンプを形成する。IBMなどではこれまで、200mmウェハー対応の装置を試作し、評価を行ってきた。今回、高い解像性を維持しつつ、高温プロセスで溶融はんだを直接埋め込むことができるレジスト材をJSRが、溶融したはんだ材料を300mmウェハーに埋め込むための装置を千住金属工業がそれぞれ開発し、IMSの実用化にめどを付けた。
「IMS技術を用いると、従来手法に比べてバンプ径を小さくできる。その上、メッキ加工などに比べてはんだ組成の自由度も広がり、多様な微細接合のニーズに対応することができる」(説明員)と話す。会場には直径20〜50μmのバンプ形成が可能なことを示すパネルを展示した。また、50μm径で高さ50μmのバンプを、端子間ピッチ100μmで形成した試作品なども紹介した。IMS技術で対応できるはんだ材料の組成に制限はなく、ビスマス系やインジウム系の材料も使用することが可能だ。このためバンプ形成を低温プロセスで行うことが可能となり、熱によるひずみや反りを低減することができるという。
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