「救済ではなくシナジーを生むための最善策」:ミネベアとミツミ電機の経営統合(1/2 ページ)
2015年12月21日に経営統合を発表したミネベアとミツミ電機。両社は東京都内で記者説明会を開催し、統合の効果や意気込みなどをあらためて語った。会見中、両社の社長が何度も強調したのは、今回の経営統合がミネベアによる“ミツミ電機救済策”ではなく、シナジーを生み出すための“最善策”であるという点だった。
ミネベアとミツミ電機は2015年12月21日、同日に発表した両社の経営統合*)について都内で記者説明会を行った。ミネベアの社長を務める貝沼由久氏は開口一番、今回の経営統合について「素晴らしいコンビネーション」と強調し、「エレクトロ・メカニクスの製品群を提供するオンリー1のメーカーとして、売上高1兆円、利益1000億円を目指す」と語った。
*)関連記事:ミネベアとミツミ電機が経営統合へ
経営統合は株式交換によって行われる。株式交換の効力発生日は2017年4月1日としていて、貝沼氏は、統合が完了したその日から「ミネベア ミツミという社名を使いたい」とし、「将来的には、例えば、ミネベア ミツミという会社の下に電子機器や機械加工といった会社を設立する可能性などもある」と説明した。
両社の製品ラインアップについては「重複がほとんどなく、経営統合によるシナジー効果がよく分かる」と貝沼氏は述べる。同氏は「ブラシ付きDCモーターは両社とも手掛けているが、ミツミ電機における同モーターの売上高比率は少ない。両社がそれぞれの技術を持ち寄ることができる」と続けた。
シナジーの一例
技術や製品を“持ち寄る”ことで生まれるシナジーの一例として、製品面では医療用ベッドセンサーによる生体情報モニタリングシステムや、コネクタの小型化/薄型化などを挙げた。ミネベアは、医療用ベッドに取り付ける荷重センサーを提供しているが、同センサーで収集したデータを無線送信するための無線モジュールや制御モジュールをミツミ電機が補完できる形だ。
一方でミツミ電機が強いアクチュエータやコネクタなどの機構部品は、金型の精度がものをいう世界だ。これについて同社の社長である森部茂氏は、ベアリングなどの製品で極めて高精度の金型製造技術や組み立て技術を持つミネベアが力になれるところだと語る。さらに、「これまでできなかったような新しい製品を生み出して、新しい市場を切り開いていけるとも考えている」(貝沼氏)と意気込む。
さらに、共同購買や、営業拠点の統合、工場の相互活用などによってコスト削減を図るとしている。
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