「救済ではなくシナジーを生むための最善策」:ミネベアとミツミ電機の経営統合(2/2 ページ)
2015年12月21日に経営統合を発表したミネベアとミツミ電機。両社は東京都内で記者説明会を開催し、統合の効果や意気込みなどをあらためて語った。会見中、両社の社長が何度も強調したのは、今回の経営統合がミネベアによる“ミツミ電機救済策”ではなく、シナジーを生み出すための“最善策”であるという点だった。
リストラの予定はない
森部氏は、「現時点で、(経営統合による)リストラなどの計画はない」と述べる。「両社において、技術や管理のリソースや生産場所などが、いずれも不足気味である。そのため今後、両社で協議を重ねながら、どの技術開発や製品にリソースを集中させるべきかを決めていく」(同氏)。貝沼氏は、「ミツミ電機の製品群は多岐にわたるので、事業ポートフォリオ自体は再編していく必要はある。ただし、それによって“人材が余る”ということはない。人材を適材適所に投入できると考えている」と説明した。さらに、ミツミ電機の業績悪化を懸念する声もあるとしながら、「ミツミ電機の赤字の規模は、ミネベアでも一事業部門においてそれくらいの赤字は出していた。(ミネベア ミツミ)本体の屋台骨に大きなダメージを与えることはない」と一向に意に介さず、「むしろ、経営統合の機会に徹底的に見直しを図り、“新生ミネベア ミツミ”としての事業ポートフォリオを見せたい」と強調した。
ミツミ電機の半導体製品については、これまで通り、MEMS製品を厚木事業所(神奈川県厚木市)で、その他の半導体製品を千歳事業所(北海道千歳市)で手掛けていくという。
さらに森部氏は、「4〜7年前は、ミツミ電機は“ゲームの会社”といわれるほど、ゲーム市場での売り上げが高かった。だが、ピーク時には約1000億円あった売上高も、現在は300億円まで落ち込んでいる。その代わり、他の分野は伸びている。2015年3月期に1530億円だった売上高は、2016年3月期には1700億円を見込んでいる。これからは、(ミネベアが持つ)金型と精密な組み立て技術が鍵になるとみている」と付け加えた。
障壁は2つ
ただし貝沼氏は、今回の経営統合における2つのハードルとして、独占禁止法のクリアランスを得ることと、「Form F-4」と呼ばれる登録届出書を米国証券取引委員会に提出する可能性があることだと語った。同氏は「独占禁止法に違反しないという承認が早く下りれば、2017年4月1日の経営統合完了に向けての“助走期間”が長くなる。この期間が長ければ長いほど、モーターをどうするかといった製品ラインアップの見直しなどにかけられる時間が増えることになる」と説明し、2017年4月1日からの“統合初年度”でシナジー効果を出せると強調した。
あくまで“対等な”統合
会見中、貝沼氏と森部氏が何度も強調したのが、今回の経営統合が“対等”であるということだ。両氏によれば、2015年9月にミネベアがミツミ電機に経営統合を提案したという。森部氏は、わずか3カ月後の同年12月初頭に、その提案を受けることを決断したと述べている。貝沼氏は「(ミツミ電機を)救済するための経営統合ではない。傘下に入れるというわけでもない」と説明し、今回の経営統合は、両社が精密部品/電子部品メーカーとしてのシナジーを生み出すための最善策だと強調した。
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