2015年半導体業界再編を振り返る[上半期編]:吹き荒れたM&Aの嵐(1/4 ページ)
2015年、半導体業界に“M&Aの嵐”が吹き荒れ、その勢いは収る気配さえない。2015年を1月から主な半導体業界の買収/合併劇を振り返っていく。
M&Aの嵐が吹き荒れた1年――。半導体業界の2015年は、この一言に尽きる。
買収総額100億米ドルを超える“巨大買収劇”がこの1年間だけで、4件も生まれた。数億〜数十億米ドルクラスを含めれば、「数え切れない」といっても過言ではないほどの合併/買収劇が繰り返された。
米国の市場調査会社IC Insightsによると、2010年〜2014年までの間に行われた半導体業界の買収案件で動いたお金は、年平均にすると100億米ドルあまりだったという。それに対し、2015年に実施/発表された買収案件の買収総額は1000億米ドルを超える。平年の10倍、過去5年間の総額を優に上回る規模だ――。
過去に類を見ない2015年の半導体業界の合併/買収劇を振り返っていこう。
1月――“再編の嵐”の序章
InfineonがIRを買収=買収額30億米ドル
2014年8月に合意していたドイツInfineon Technologies(インフィニオン)によるInternational Rectifier(IR)の買収が完了した。パワー半導体世界市場のシェア1位と6位の組み合わせであり、買収後のInfineonは、同市場で2位東芝の2倍以上に相当するシェアを持つ企業となった。
さらに、Infineonは、車載半導体市場でも世界シェア首位のルネサス エレクトロニクスと数%差の2位。IR買収でルネサスをかわし、車載半導体首位に躍り出る可能性を秘めた買収だった。
LatticeがSilicon Image買収を発表=買収額6億700万米ドル
FPGAベンダーのLattice Semiconductor(ラティス)が、HDMIやMHLなどビデオ系インタフェースICやIPを得意とするSilicon Image(シリコン イメージ)の買収を発表した(2015年3月に買収完了)。
Latticeは、同じFPGAベンダーのAltera(アルテラ)/Xilinx(ザイリンクス)とは一線を画し、小型/低消費電力を前面に押し出したFPGA製品に特化。昨今は、スマートフォンなど民生機器に対し、インタフェースブリッジなどの用途のコンパニオンチップとして採用を拡大させてきた。そうした中で、スマホなどにも搭載されるビデオ系インタフェースの規格策定にも関わり、豊富なIPを持つSilicon Imageを取り込むことでFPGAとしての競争力を高めようとの狙いから買収に至った。なお、Silicon Imageの子会社で、ミリ波帯(60GHz帯)を使った無線伝送技術「WirelessHD」などを展開するSiBEAM(サイビーム)も買収に伴いLatticeの子会社になっている。
2月――王者Intelも積極姿勢
IntelがLantiqの買収を発表=買収額不明
Lantiqは、ドイツに本社を置くDSL向けネットワークプロセッサを手掛ける企業だ。その前身は、Infineonの有線通信部門であり、2009年にLantiqとして独立した。Intelは、買収の狙いについて「当社とLantiqの技術力を組み合わせることで、機器メーカーやサービスプロバイダー、ホームアプリケーションの開発企業向けに、包括的で幅広い接続ソリューションやホームクラウド技術を提供できるようになる。IntelのIoT(モノのインターネット)ソリューションとセキュリティ製品、クライアントデバイスと共に、刺激的で新しい接続体験を顧客企業に提供していきたい」と述べている。買収は、4月に完了した。
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