ダイエットを“過渡現象”で説明できるか:世界を「数字」で回してみよう(24) ダイエット(2/5 ページ)
前編に続き、今度は、ダイエットにおける体重の増減をエンジニア視点で分析してみたいと思います。そして、ひと月に及ぶ壮絶な体重シミュレーションを繰り返した私は、ある結論にたどりついたのです……。
いつだって「停滞期」で「増量期」
今回も、このギザギザの周期を、例によって高速フーリエ変換で調べてみました。
この結果、1日周期の成分が突出していることが明らかになりました。つまり、10日当たりの体重の変動よりも、1日当たりの変動の方が大きいということです。
ですが、考えてみれば、人間は毎日違った行動を取っていますので、摂取カロリーも運動カロリーも変化するのは当然のようにも思えます。
しかし私は、この100日ダイエットの間、データを取るために、食事の量、時間ともに一定(朝:おにぎり1個とみそ汁、昼:社食の弁当:夜:社食のそばと生卵とサラダの小皿)にするように心掛けてきましたし、通勤などの運動量もおおむね同じだったと思います。
少なくとも私に関しては、体重を「バタバタ」させるような要因が、思い当たらなかったのです。
実際のところ、入力がない(食べていない)のに、出力が上がる(体重が増える)という、いわゆる「停滞期」といわれる、体重が線形に変化していかない期間は存在します。
バイキングレストランで、お腹が一杯になって動けなくなるまで食べ続けても、その翌日に体重が減っていることもあれば、腹が減って目が回りそうな時でも体重が増えている時もあります。
しかし、短期間では説明できないことでも、長期間(1カ月以上)観測すれば、全体としては、おおむね予想通りに体重は変化していきます。
前回、私はこの現象を「ノイズ」であると言いましたが、本当に他の方法で説明できないものか、ずっと考え続けてきました。それが説明できれば、「超シンプル体重シミュレータ」でも、短期(数日から一週間程度)の体重予測が可能になると考えたからです。
この予測が、いわゆる「停滞期」やら、理由の分からない体重変動やらに悩まされている、世界中のダイエッターたちの福音となって ―― 上手くいけば、10年後あたりにストックホルムに招待してもらえるかもしれない ―― と(まあ、無理でしょうが)。
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