医療用ウェアラブル向け統合型センサー、マキシム:パルス酸素濃度と心拍数を計測可能
Maxim Integrated Productsは2016年1月13日、パルス酸素濃度と心拍数を計測できる医療用ウェアラブル機器向け統合センサーモジュール「MAX30102」を発表した。
Maxim Integrated Products(以下、マキシム)は2016年1月13日、医療向けウェアラブル機器やフィットネス用アプリなどに適する統合型センサーモジュール「MAX30102」の出荷を開始した。MAX30102は赤色と赤外線LED、フォトディテクタ、光学素子、環境光除去機能を備えた低ノイズ電子回路を内蔵していることにより、動脈血の酸素飽和度を測定するパルス酸素濃度と心拍数を計測できる。
14ピン光モジュールで提供され、サイズは5.6×3.3×1.55mm。1.8Vの単一電源と内蔵LED用の5V電源で動作し、−40〜85℃の範囲で動作を保証している。これにより、ウェアラブル機器の省スペース化と市場投入までの時間を短縮することが可能という。
価格は、4.13米ドル(1000個購入時単価)。「モジュールと加速度計を内蔵した評価プラットフォームとソフトウェアも提供している」(同社)とした。
従来製品より消費電力を10分の1以下に低減
MAX30102は、指先で継続的(5〜15分間隔)にパルス酸素濃度や心拍数を測る医療向けウェアラブル機器やフィットネスアプリ向けに開発されている。統合型センサーモジュールとしては第4世代の製品となるが、従来はスマートフォンなどモバイル端末向けの製品だった。
同社は、「モバイル端末はセンサーの利用頻度が少なく、かつ、大容量のバッテリーを備えていたため、そこまで消費電力を下げる必要はなかった。しかし、ウェアラブル機器は継続的に動作する上、バッテリーも小さく消費電力をおさえなければいけなかった」と語る。
MAX30102は赤色と赤外線LEDの他に、フォトディテクタ、光学素子、環境光除去機能を備えた低ノイズ電子回路を内蔵。「今まで積み上げてきたノウハウによって、光学的なLEDパッケージングを効率よくできた。これにより、従来製品よりサイズを15%小さくし、消費電力を10分の1以下に低減した。従来の医療用ウェアラブル機器の開発は、ディスクリートを組み合わせる設計が行われてきた。しかし、今後は統合型モジュールが取って代わるだろう。MAX30102は、統合型センサーモジュールとして最も性能が良く、ウェアラブル機器のデザインイン工程を容易化するシステムを提供する」(同社)という。
今後は緑色LEDを内蔵した製品も展開
同社は、2016年3月にMAX30102の次の製品として「MAX30101」を展開する予定。MAX30101は、MAX30102とサイズは同じだが、赤色/赤外LEDに加え、緑色LEDを内蔵している。これにより、激しい動きを伴う場合でも正確な計測が可能としている。
なお、MAX30102は、2016年1月13〜15日に東京ビッグサイトで開催するウェアラブル端末の活用と技術の総合展「ウェアラブルEXPO」の丸文ブースで展示される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ドライアイ予防に効果? まばたき検知センサー
ソシオネクストは、慶應義塾大学と共同で、24GHz電波センサーモジュールを使った非接触型のまばたき検知センサーシステム(試作)を開発した。ディスプレイを凝視することなどで起こるドライアイの予防システムや、自動車の居眠り運転防止装置などへの応用を目指すという。 - メダル型センサーモジュール、スマホなどと連動
ロームは「CEATEC JAPAN 2015」において、IoT社会の実現に向けて、複数のセンサーと無線通信IC、ローパワーマイコンを搭載した評価キット「センサーメダル」のデモ展示を行った。預けたバッグや荷物の状態を、スマートフォンなどで遠隔地から確認することが可能となる。 - IoTはトイレまで監視? これで仕事をさぼれない
アルプス電気は、2015年10月7日に開幕した「CEATEC JAPAN 2015」(千葉市・幕張メッセ)で、同社のセンサーモジュールを用いたIoT市場向けソリューションの展示を行った。農業やインフラ機器の監視、トイレの利用状況の遠隔監視といった事例が紹介されていた。 - 1cm角太陽電池で動く無線端末を実現する電源IC
サイプレス セミコンダクタは、起動電力を1.2μWに抑え、1cm角程度の小さな太陽電池でも無線センサー端末を動作させられるパワーマネジメントICを開発した。