1cm角太陽電池で動く無線端末を実現する電源IC:指先サイズの電池レスセンサー端末も!
サイプレス セミコンダクタは、起動電力を1.2μWに抑え、1cm角程度の小さな太陽電池でも無線センサー端末を動作させられるパワーマネジメントICを開発した。
起動電力1.2μW
サイプレス セミコンダクタ(Cypress Semiconductor)は2015年8月20日、太陽電池で動作する無線センサー端末向けのエナジーハーベスティング(環境発電)パワーマネジメントIC(PMIC)「S6AE101A」を発表した。起動電力を1.2μWに、消費電流を250nAに抑えたことで、1cm2サイズの小型太陽電池のわずかな発電電力でも、無線センサー端末を動作させられるという。
発表したPMICは、環境発電用途に特化したIC。より小さな発電素子でも、Bluetooth Low Energy(BLE)などの無線通信に対応した無線センサー端末を実現すべく開発した。
これまで、太陽電池など発電素子を利用した環境発電型無線センサー端末は、無線用ICやセンサー、マイコンといったデバイスに適した電力に変換、供給するPMICの起動電力の大きさがネックになり、一定の電力を確保するため、発電素子の大型化を招いた。
そこで、サイプレスでは、PMICの起動電力を低減する技術を開発。「競合製品に比べて1/4程度」(同社)という1.2μWという低い起動電力を達成。PMICの自己消費電流も250nAに抑えたことで、1cm2程度のサイズの太陽電池で、マイコン、センサーなどを搭載するBLE対応無線センサーを動作させることを可能にしたという。
S6AE101Aは、既にサンプル出荷を開始し、2015年10〜12月に量産を開始する予定。加えて、S6AE101Aと、BLE対応無線機能を集積したSoC「PRoC BLE」*)や太陽電池、温度センサーなどを組み合わせた小型無線センサーモジュール「EZ-BLE PRoC Module」も開発。同モジュールは10×10×1.8mmの小型サイズを実現している。同モジュールにソフトウェアなどを同梱した開発キット(価格:49米ドル)も用意している。
*)関連記事:Bluetooth Low Energy無線機能を集積、サイプレスの「PSoC 4」と「PRoC」
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