2020年仕様の車載アナログ半導体を公開:燃料電池監視IC、48V←→12V変換IC(2/2 ページ)
リニアテクノロジーは2016年1月13〜15日に開催された「国際カーエレクトロニクス技術展」(会場:東京ビッグサイト)で、2020年に市販される自動車への搭載を目指した最新アナログ半導体を紹介。燃料電池監視用ICなど開発中の製品の参考展示も実施した。
48Vシステムで生じるニーズを先取り
LTC6806同様に、2020年市販車をターゲットにした開発中製品としては、高耐圧の双方向昇降圧DC-DCコントローラ「LTC3871」も出品した。多くの車載向け電源ICで採用実績を伸ばす中で、LTC3871は、2020年までに欧州を中心に急速に市場が立ち上がる見込みの48V系電源でECUを動作させる「48Vシステム」で発生するであろうニーズに応えたDC-DCコントローラだ。
より大電力を効率良く扱うために導入に向けた開発が進む48Vシステムだが、全てのECUの電源電圧が48Vに統一されるわけでなく、一部のECUは現状の12Vシステムとなる。また48Vシステムのオルタネータやバッテリーなど発電/蓄電系の出力は48Vになるが、エンジン停止時などの電力を賄う鉛蓄電池の出力は12Vのままになる。そのため、エンジン動作時は48Vの電力を12Vに降圧し、12VシステムのECUへ供給する必要がある一方で、エンジン停止時には逆に12Vの電力を、48Vシステムへ昇圧して供給する必要が生じる。
現状、48Vと12Vを行き来させるDC-DCコンバータユニットを構成する場合、48V→12Vの降圧回路と、12V→48Vの昇圧回路が別に組むことが当たり前だった。これに対し、LTC3871は、48V→12Vの降圧、12V→48Vの昇圧の双方に1ICで対応するDC-DCコントローラで、同ユニットの省サイズ化、低コスト化を実現するデバイスだ。技術的難易度の高い12Vから48Vへの昇圧も、95%を上回る最大変換効率を実現し、「昇圧回路を単独で構成した場合と同等以上の効率を誇る」とする。降圧側の最大変換効率は97%だという。LTC3871についても、2016年中にサンプル出荷が始まる見込みだ。
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