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バッテリー動作で持ち運びが可能な生体信号計測システム福田昭のデバイス通信 ISSCC 2016プレビュー(10)(2/2 ページ)

10回にわたりお届けしてきた「ISSCC 2016」プレビュー。最終回となる今回は、セッション27と28のおすすめ講演を紹介する。セッション28の主要テーマは医療エレクトロニクスだ。バッテリーで動作し、持ち運びが可能な生体信号計測システムなどが発表される。

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NMRシステムやESRシステムなどを持ち運び可能に

 セッション28のメインテーマは「イメージャ/MEMS/医療/ディスプレイ」、サブテーマは「ポイント・オブ・ケア向けのバイオセンサー」である。「ポイント・オブ・ケア」とは、病院や医院、保健所などの医療関係機関ではなく、家庭やオフィス、事故現場、災害現場などのその場所で短時間に生体の状態を把握し、適切な措置を施すことを意味する。ポイント・オブ・ケアのシステムには、持ち運びが可能であること、電池(バッテリー)で動作すること、などの要件を満足することが求められる。

 University of MacauとUniversity of Pavia、University of Glasgow、Instituto Superior Tecnicoの共同研究グループは、ハンドヘルド型の核磁気共鳴(NMR)分析システムを発表する(講演番号28.1)。垂直ホールセンサーや温度制御コイルなどを駆使した。

 University of Ulmは、バッテリーで動作する電子スピン共鳴(ESR)分光システムに向けたCMOSチップを報告する(講演番号28.2)。共鳴周波数は14GHz。シリコンダイの製造技術は0.13μmのCMOSである。

 imecとSamsung Electronicsの共同開発チームは、バッテリーで動作する、生体マルチセンシング・データ収集システムを発表する(講演番号28.4)。心電図(ECG)と生体インピーダンス(Bio-Z)、皮膚電気反応(GSR)、容積脈波(PPG)の信号を同時に収集できる。なお、Samsungが2015年12月29日に開発をリリース発表した「Bio-Processor」は、このデータ収集システムの中核となるプロセッサだとみられる。

Samsung Electronicsが2015年12月29日に開発を発表したプロセッサ「Bio-Processor」
Samsung Electronicsが2015年12月29日に開発を発表したプロセッサ「Bio-Processor」。アナログフロントエンド(AFE)、マイクロコントローラ(MCU)、DSPなどを集積した。同社のリリースから(クリックで拡大)

 この他、シャープと京都大学、広島大学の共同研究グループが、LC発振器アレイによって生体分子の2次元形状を検出するセンサーを報告する(講演番号28.3)。発振器の周波数は120GHzと60GHzである。

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