高技術難度領域に解決策を提供する――TEジャパン:コネクティビティ/センシングのリーダーとして(3/3 ページ)
タイコ エレクトロニクス ジャパン(TE ジャパン)は、コネクタ/センサーの展開を強め、2016年9月期も3〜4%の売り上げ成長をもくろむ。「市場は、全般的にはマイナス成長となるが、ハイブリッド車/電気自動車向けビジネスなどを伸ばすことで成長を実現したい」とする同社社長の上野康之氏に聞いた。
クルマ1台当たりの採用数を大きく伸ばす
EETJ 2016年度、期待しているビジネスにはどのようなものがありますか。
上野氏 1つは、HEV向けビジネスがある。新型HEVに1台当たりに搭載される部品を、従来よりも金額ベースで20〜30%程度多く採用されたこともあり、大きく売上高が伸びることを期待している。今後も、さまざまな自動車メーカーから、新たなテクノロジーを採用し、新たな電子部品を必要とするEV/HEVが登場してくる。そうした次のEV/HEVで着実に採用数を伸ばしていきたい。
コネクテッドカー向けのビジネスも増えてくるため、売り上げに寄与してくると考えている。
自動車に関して言えば、ジャパンとして2016年度は少なくとも7%程度の成長を達成したい。
EETJ 4〜5年先に市販される自動車へのデザインイン提案としては、どのような製品に注力されていますか。
上野氏 今後、急速に自動運転に向けたセンサーや無線通信機能の搭載が進む。完全自動運転自体は、2030年以降になるが、2020年にはそうした完全自動運転をにらんだ一部自動運転機能を搭載した自動車が増えてくるだろう。
そうなった場合に、これまで、それほど高速なデータ伝送の必要がなかった自動車で高速伝送技術が求められる。これまでとは全く異なる高速、大容量の伝送技術が必要になる。そうした高速大容量伝送に対応する製品を、小型/軽量という特長を打ち出して提案していくことになる。また、アルミワイヤの採用増も見込まれるので、既に一部量産車で採用されているが、アルミワイヤ向けの圧着技術などを磨きつつ提案を行っていく。
厳しい技術要求/難しい技術課題のある領域で存在感
EETJ 民生機器向けビジネスの展望、戦略をお聞かせください。
上野氏 白物家電に関しては、日本メーカーは比較的好調で、売り上げ増を期待している。一方で、デジタル家電については厳しい環境が続く見通しだが、無理に売り上げ増を狙うのではなく、付加価値の高いアプリケーションなどターゲットを絞ったビジネス展開を行う。全社的に、厳しい技術要求/難しい技術課題のある分野で、コネクティビティ/センシングのリーディングカンパニーとして、存在感を示すという大きな戦略を掲げている。デジタル家電分野でも、厳しい技術要求/難しい技術課題のある領域に対し、新しいソリューションを提供することが使命だと考えている。
EETJ 産業機器については、いかがですか。
上野氏 2015年度後半に引き続き、足元も新興国の景気後退の影響で厳しい状況にある。当社のビジネスも、ある程度、景気次第と言わざるを得ない状況だ。ただ、そういう中でも、産業ロボットの普及などプラス要因もあり、そうした領域はしっかりと狙っていきたい。
センサーの国内サポート体制を強化へ
EETJ センサー製品の拡充状況はいかがですか。
上野氏 2014年の米メジャメント・スペシャリティーズの買収などを通じ、センサー製品ラインアップは大きく強化された。例えば、ガスセンサー、圧力センサー、ポジションセンサーなどクルマでも使用できる製品がそろっている。他にも電流検知センサーなど、アドバンテージのあるセンサー製品群を日本でも積極的にプロモーションを行っている。ただ、センサーは、スペックインしてから売り上げ計上まで時間を要する。TEジャパンとして、センサー製品が本格的に売り上げ寄与してくるのは、2018〜19年になるだろう。センサーを提案する上で、コネクタ同様、日本でも試作開発などサポートを提供する必要があると感じているので、掛川工場にそうした機能を付加していきたいと考えている。
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