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端末間2cmでも干渉しないビーム形成技術キスしても5Gの通信速度を落とさないために!?(1/2 ページ)

三菱電機は、5G(第5世代移動通信)用アンテナ向けのマルチビームフォーミング技術として、近接ビーム間での干渉が起こしにくくする「マルチビーム多重技術」を開発したという。従来端末同士の距離が数メートル以内であればビーム間の干渉により通信速度低下を招いたが、新技術では端末同士が2cm程度しか離れていない場合にも通信速度を維持できるという。

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16ビームによる空間多重

 現在、標準化が進められている第5世代移動通信(5G)は、ピークデータレートを20Gビット/秒(以下、bps)にする方向で検討が進められているという。20Gbpsの高速データ転送を実現するためには、8GHzもの通信帯域が必要になるとされる。現行の4Gの通信帯域は、20MHz幅の周波数を2空間多重させ「40MHz」(=20Mz×2空間)となっている。これに対し、5Gでは、500MHz幅の周波数を、16空間多重させ、8GHz(=500MHz×16空間)の通信帯域を確保する方向で技術開発が進められている。


5G(第5世代移動通信)と4Gの要求条件比較 (クリックで拡大) 出典:三菱電機

 電波を16の空間に分割、多重化させるには、超多素子アクティブフェースドアレイアンテナ(APAA)を16個使い、16個のビーム状の電波を形成する必要が生じる。

 16空間多重に対応したAPAAは、既にいくつか開発され、三菱電機も2015年に44GHz帯域/500MHz幅対応のAPAA16個で構成するアンテナシステムを開発し、NTTドコモとの共同実験で16ビーム空間多重での伝送を確認している。


5GでのAPAAを用いたビームフォーミングによる空間多重イメージ (クリックで拡大) 出典:三菱電機

端末間数メートルで速度低下

 ただ、これまでのAPAAは、ビームとビームの距離、すなわち、ビームの先にある端末間の距離が近い場合に、ビーム間で干渉が起こったり、干渉を防ぐためにビームの信号電力を落としたりするため、通信速度の低下を招いた。三菱電機によると「これまでは、端末間の距離が数メートル以内になれば、速度低下が生じた」という。


従来マルチビーム技術が抱えた課題 (クリックで拡大) 出典:三菱電機

 今回、三菱電機が開発したマルチビーム多重技術は、近接した端末であっても通信速度を落とすことなく、高速通信を維持できるよう、こうした近接ビーム干渉を抑える新たな技術だ。これまで一定(線形)だったビームの形を、状況に応じ(非線形に)変えることで、干渉を抑える。


開発したマルチビーム多重技術のイメージ (クリックで拡大) 出典:三菱電機

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