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SSDのリモートDMAを実現する「NVMe Over Fabrics」福田昭のストレージ通信(22) SSDインタフェースの現在(4)(1/2 ページ)

今回は、リモートアクセスが可能なネットワークを経由してNVMeのホスト/デバイスを接続するための規格「NVMe Over Fabrics」を解説したい。

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ネットワーク接続されたSSDにアクセスする

 前回に続き、「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」から、SSD(Solid State Drive)インタフェースの最新動向に関する講演の概要をご報告する。講演者は、IntelでDirector of Technology InitiativeをつとめるJim Pappas氏。講演のタイトルは「Annual Update on Interfaces」である。

 本シリーズ(SSDインタフェースの現在)の前回は、PCIe SSDに向けたホスト・コントローラー・インタフェースの「NVMe」をご紹介した。NVMeはPCIe SSDの性能を最大化するだけでなく、数百台を超える膨大な数のSSDを扱える、ホスト・インタフェースでもある。

 ところで、実際に使われている高速なインタフェースや高速なネットワークなどは、PCIeとは限らない。既に設置してある高速のネットワークにも、SSDを接続するケースは当然ながらあり得る。特に重要なのは、リモートアクセス(厳密にはリモートDMA(Remote Direct Memory Access))が可能なネットワークである。

 リモートDMAでは、CPUを介在せずに、別のホスト・システムのSSDからデータを直接、読み込んだり、あるいはデータを直接、書き込んだりする。ネットワークを介して別のシステムのSSDに読み出しアクセスするときはふつう、システムメモリにSSDのデータをいったん読み込み、それから、ネットワーク経由でデータを伝送する。このため、CPUの介在と、長い待ち時間が避けられない。リモートDMAでは、このようなボトルネックが解消される。

 リモートアクセスが可能なネットワーク(あるいはスイッチドファブリック)を経由してNVMeのホストとNVMeのデバイスを接続する。このために策定中の技術仕様が「NVMe Over Fabrics(NVMeオーバーファブリック)」である。

 NVMeオーバーファブリックでは、NVMeとスイッチドファブリックの間に、抽象化層(トランスポート・アブストラクション層)を挟んでデータを変換し、スイッチドファブリックにデータを載せる。スイッチドファブリック経由で受け取ったデータは、再び抽象化層を通して変換される。

 NVMeオーバーファブリックで想定しているネットワークは現在のところ、「InfiniBand(インフィニバンド)」「iWARP(Internet Wide Area RDMA Protocol)」「RoCE(RDMA Over Converged Ethernet)」などである。いずれも、リモートDMA(Remote Direct Memory Access)をサポートするファブリックだ。

「NVMe Over Fabrics(NVMeオーバーファブリック)」の概念図
「NVMe Over Fabrics(NVMeオーバーファブリック)」の概念図。出典:FMS2015の講演「Annual Update on Interfaces」のスライド(クリックで拡大)
「NVMe Over Fabrics」のアーキテクチャ
「NVMe Over Fabrics」のアーキテクチャ。左はPCIeファブリックを通じた接続(NVMeの規格仕様を策定済み)。右は「NVMe Over Fabrics」が想定する接続。出典:FMS2015の講演「NVMe Over Fabrics Overview」のスライド(クリックで拡大)

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