2時間映画も10秒で――WiGigを体験してきた:成田空港で「世界初」の実証開始(1/2 ページ)
パナソニックと成田国際空港は2016年2月18日、次世代無線通信規格「WiGig」を使用したWiGigスポットの実証実験を開始した。最大伝送速度7Gビット/秒でWi-Fiよりも10倍以上速いというWiGigとは一体何なのだろうか。本記事は、実証実験の様子を写真や動画で紹介する。
「世界初」の実証実験
実証実験は、WiGig対応のミリ波アクセスポイントを用いたWiGigスポットを成田空港内に設置して行われる。WiGigとは、IEEE802.11ad規格をベースとした60GHz帯を用いる無線LAN規格の1つ。その特長は、Wi-Fiの10倍以上である最大7Gビット/秒(bps)の高速なデータ転送が可能で、他のWi-Fi対応機器との互換性を維持できる点にある。
実証実験は空港利用客を対象に行われ、専用のタブレット端末で大容量の映像をダウンロードする体験ができる。パナソニックによると、WiGigスポットの実証実験は「世界初」としている。
「ビームフォーミング」を適用
WiGigスポットには、3つのWiGigモジュールを内蔵したミリ波アクセスポイントが設置され、ミリ波アクセスポイントとコンテンツサーバがイーサネットで接続されている。
60GHz帯のWiGigは、2.4GHz帯や5GHz帯のWi-Fiと比較して周波数が高い。そのため、広い帯域が利用可能となり、高速な無線伝送を可能にする。しかし、高周波は減衰しやすい上、直進性も強く、通信エリアが狭いという課題がある。パナソニックは今回、電波の方向を特定の方向に集中的に照射する「ビームフォーミング」を適用し、この課題を解決したという。
これにより、1つのWiGigモジュールで送受信範囲を従来比2倍以上広角となる120度に拡大し、移動していたり、障害物があったりしても、通信速度を落とさずに最大4人の同時利用を可能にした。1台のアクセスポイントには3つのWiGigモジュールが内蔵されているため、最大12人の同時利用ができ、周囲360度をカバーしていることになる。1ユーザー当たりの実効速度は1Gbps以上、最大通信距離は約10mとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.