「MWC 2016」の焦点は5Gの実用化:課題は技術よりもビジネスモデルの構築か(2/2 ページ)
「Mobile World Congress(MWC) 2016」(2月22〜25日、スペイン バルセロナ)が、もう間もなく開催される。MWC 2015では第5世代移動通信(5G)の標準規格に関して議論されたが、MWC 2016では実用化に向けてさらに踏み込んだ議論が交わされる見通しだ。
Nokiaは自動運転システムをデモ
NokiaはMWC 2016で、5Gネットワークを使って走行する自動運転車のデモを披露する予定だという。ただし、実際のクルマを使うわけではなく、模型の自動車をテーブルの上で走らせるというものだ。このデモでは、模型車は複数のエッジクラウドに接続されるという。自動車の走行に合わせてクラウドからクラウドへコンテキストを送信することで、自動車を完全に制御するとしている。
MWC 2016で多くの5G向けデモが披露される予定とはいえ、5Gには技術的な課題もまだ残っている。例えば、5Gで必要になるエアインタフェースと無線アクセス技術を定義しなくてはならないと、Jarich氏は述べる。
さらにHeld氏は、「新しい無線ソリューションと新しいアーキテクチャをいかに組み合わせるかにも焦点が当たるだろう」と付け加えた。
標準化の問題もある。3GPPは、5Gの規格策定をようやく開始したところで、ワークアイテムは2016年中に決まる予定だ。欧州の5G推進プロジェクトである5GPPPも積極的に動いている*)が、多くの関係企業/団体は、2019年に開催される予定の「World Radiocommunication Conference(WRC)」での動きも考慮しなくてはならないだろう。
*)関連記事:5Gの課題は技術よりも「各社の意見の一致」
Jarich氏もHeld氏も、MWC 2016でのデモが、次回のWRCに役立つものとなるよう期待していると語った。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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