高速ビジョンの用途開拓へ、推進組織を設立:日本の強みを生かし、システム設計力で勝負する(2/3 ページ)
高速ビジョンによる応用市場の拡大や新産業創出を目指す「WINDSネットワーク(Network for World Initiative of Novel Devices and Systems)」が設立された。
会長はソニー執行役副社長鈴木智行氏
「WINDSネットワーク」は、こうしたNEDO事業の成果を活用して、新たな用途の拡大や新産業の創出を推進していくために設立された。2016年度中に約300社/団体の参加を見込んでいるが、より多くの企業や団体が参加できるよう、入会の制約を極力なくし緩やかな組織を目指す。しかも、会員は企業単位だけでなく、部や課の単位でも加入することができるという。WINDSネットワークの会長にはソニーの執行役副社長を務める鈴木智行氏が就任した。
「WINDSネットワーク」設立の記者会見の模様。左からNEDOの山崎知巳氏、WINDSネットワークの副会長を務める東京大学大学院の石川正俊氏、ソニーの吉村真一氏、日産自動車の三田村健氏、エクスビジョンの藤井照穂氏 (クリックで拡大)
WINDSネットワークは、主に「WINDSフォーラム」と「WINDSアライアンス」の2つの枠組みで活動を行う。WINDSフォーラムでは、あらゆる事業分野の会員に対して、技術セミナーや情報交換を通じて、高速画像処理技術に関する情報を提供する。WINDSアライアンスでは、画像処理用途で先行する応用事例の検討や実装/評価を行い、技術応用の可能性について議論するという。
日本型イノベーションの実現へ
CMOSイメージセンサーにおける開発の方向性は、これまで感度や解像度の向上に主体が置かれてきた。前述のように今回は、高速フレームレートで撮像/処理を行うことができるCMOSイメージセンサーを基盤技術として、システムメーカーなどと連携して新たな用途開拓に取り組む。
東京大学大学院情報理工学系研究科の教授で、WINDSネットワークの副会長を務める石川正俊氏は、「新しい日本型イノベーションを実現していくためには、基本要素となる技術を土台にして、新規市場や新しい価値を創出していくことが必要である。このためには、新しいデバイス機能を積極的に活用し、システムとのマッチングが重要となる。こうした中で、応用分野のさらなる開拓や、さまざまなシステムへの展開を推進/加速していくことがWINDSネットワークの役割である」と述べた。
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