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強誘電体中の新たな量子現象、理研などが発見:量子揺らぎによる強誘電ドメイン壁の運動を解明(2/2 ページ)
理化学研究所(理研)の賀川史敬氏らによる共同研究グループは、有機物質の強誘電体において、水素原子と同程度の軽い有効質量を持つ強誘電ドメイン壁を見いだした。
予測よりはるかに軽かった
共同研究グループは、まず強誘電ドメイン壁を動かすのに必要な電界強度の強さと、その温度依存性を調べた。そうしたところ、量子臨界点からやや離れた0.34GPaでは、物質を取り巻く環境が低温になるにつれ、抗電界の強さは4kV/cmから15kV/cmへと4倍近く上昇した。一方、量子臨界点に近い0.26GPaでは、温度が低くなっても抗電界の強さは3〜4kV/cmで、ほとんど変化しなかった。このことから、量子臨界点近傍での強誘電ドメイン壁の動きは、量子揺らぎに基づくものであることが分かった。
今回の測定結果から、量子臨界点近傍の圧力における強誘電ドメイン壁の有効質量は、水素原子の質量の約1/3〜1/2程度ということが分かった。TTF-QBr2I2を構成要素とする有機強誘電体の場合、分子の質量と同程度の有効質量を持つと予測されたが、解析から見積もられた有効質量は、予測よりはるかに軽いことが分かった。
強誘電ドメイン壁の運動の検出。左は強誘電ドメイン壁が強誘電体中を運動する様子の模式図、右は緩和時間(ある安定点から隣の安定点に移動するのにかかる特徴的な時間)の温度依存性を示した図 (クリックで拡大) 出典:理化学研究所
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