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新製品攻勢でタイミング市場に変化を起こすSiTime真空管、フィルム、HDDの次は水晶だ(1/4 ページ)

メガチップスの子会社であるSiTimeは、ウェアラブル機器市場を中心にMEMS発振器ビジネスを拡大させている。MEMS技術を活用したTCXO(温度補償型水晶発振器)などの量産を開始し、水晶が主流の発振器市場をシリコン主流の市場へシフトさせようとしている。

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 「真空管、フィルム、HDDで起こったことを、われわれは水晶で起こす」

 こう語るのは、メガチップス傘下の米SiTime(サイタイム)でマーケティング担当Executive Vice Presidentを務めるPiyush Sevalia氏だ。

 「真空管は、トランジスタ/ICに、フィルムはイメージセンサー/フラッシュメモリに置き換わり、HDDもSSDにとって代ろうとしている。すなわち、すべてシリコンがそれまでのものを凌駕(りょうが)してきた。今度は、われわれが水晶を、シリコンに置き換える」と言い切る。

シリコンが水晶に勝る日は遠い? 近い?

Piyush Sevalia氏
Piyush Sevalia氏

 MEMS技術を使ったシリコン発振器(以下、MEMS発振器)が登場して久しい。MEMS発振器専業メーカーであるSiTimeも2005年の創業から10年以上がたった。しかし、現状は、真空管やストレージなどと同様に、“水晶にシリコンが勝った”とは言い難い状況が続いている。「MEMS発振器では90%のシェア」(Sevalia氏)とMEMS発振器におけるリーダーを自負するSiTimeだが、裏を返せば、SiTime以外にMEMS発振器市場に参入した多くの競合は、苦戦を強いられてしまっているということ。シリコンが水晶に勝る日は遠いように思える。

 しかし、Sevalia氏は、「すでに変化は起こりつつある」という。

 SiTimeは、メガチップスの子会社として再スタートを切った2015年、代表的な発振器市場であるキロヘルツSPXO(シンプルパッケージ水晶発振器/以下、XO)市場での販売数量を前年の6000万個から1億1000万個へと2倍近く伸ばしたのだ。

 「キロヘルツXOは、日本と台湾の競合2社が最大手メーカーだが、両社ともに発表資料などからキロヘルツXOの年間生産能力はそれぞれ9000万個程度と推定される。2015年、水晶の競合メーカーを逆転し、われわれがキロヘルツXO市場でトップメーカーになった」(Sevalia氏)というのだ。

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