SequansのLTE Cat1チップ、ドコモ網で運用成功:M2Mに最適化したネットワーク向け
フランスのSequans Communications(シーカンス・コミュニケーションズ)が、LTE Cat1(カテゴリー1)対応のチップセットを日本市場に投入する。LTE Cat1は、M2M(Machine to Machine)通信などに最適化されたもので、Sequans Communicationsのチップセットは、NTTドコモのLTE Cat1ネットワークを使った相互運用試験に成功したという。
LTE向け通信モジュールなどを手掛けるフランスのSequans Communications(シーカンス・コミュニケーションズ/以下、シーカンス)は2016年3月9日(現地時間)、シーカンスが提供するLTE Cat1(カテゴリー1)対応プラットフォーム「Calliope」のチップセットについて、NTTドコモのネットワークにおいて相互運用試験に成功したと発表した。
LTE Cat1は、既存のLTE規格の中で最もスループットが小さいカテゴリーである。さまざまな種類のIoT(モノのインターネット)機器を安価に接続でき、LTE Cat3(カテゴリー3)/Cat4(カテゴリー4)の端末と、同じネットワークを共用できる。NTTドコモは、M2M(Machine to Machine)機器やその他のIoT機器を自社ネットワークに接続するため、LTE Cat1のネットワークを提供する予定だという。
市場調査会社であるテクノ・システム・リサーチ(TSR)が2015年5月に発表した資料によると、モバイルネットワークを利用したM2M国内市場は、2019年までに3500万回線(法人/個人向けの合計)に達するという。LTE Cat1向けのチップセットが安価に提供されれば、同市場の成長が加速する可能性がある。
シーカンスは2003年の設立以来、無線装置メーカーにシングルモードのLTEチップセットを提供してきた。主に「Streamrich LTE」と「Streamlite LTE」の2つの製品ファミリーがあり、Streamrich LTEは多機能モバイルコンピューティングや家庭向けのルーター、Streamlite LTEはIoT/M2M向け機器や、その他の接続装置向けに最適化されている。Calliopeは、Sreamlite LTEファミリーの製品になる。LTE Cat1では最大10Mビット/秒(Mbps)のスループット、低消費電力、VoLTE(Voice over LTE)対応、小型といった特徴を備えるという。なお、Calliopeは、米国のLTEネットワークにおいて既に認定を受けている。
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