検索
ニュース

Q値世界最高水準、光ナノ共振器の大量作製に成功シリコンラマンレーザーの工業化に道(2/3 ページ)

大阪府立大学と産業技術総合研究所は2016年3月16日、150万の高Q値を持つ光ナノ共振器を大量作製することに成功したと発表した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

ArF液浸フォトグラフィー、300mmウエハーで作製

 産総研スーパークリーンルーム(SCR)のシリコンデバイス一貫試作ラインを利用し、サンプル作製を実施。波長193nmのArFエキシマレーザー光源を使った液浸フォトリソグラフィー法を用いて、300mmシリコンウエハー全面に光ナノ共振器を作製した。


図2:左=産業技術総合研究所スーパークリーンルームの外観 / 右=フォトリソグラフィーを行ったArF液浸フォトリソグラフィー装置 出典:産業技術総合研究所

最大で200万以上も

 図3の電子顕微鏡写真のように作製した光ナノ共振器は、形状が均一で、垂直性も高い円形の空気孔が形成された。


図3:フォトリソグラフィーで作製したフォトニック結晶の電子顕微鏡写真 出典:産業技術総合研究所
厚さ220nmのシリコン薄板に直径200nm程度の空気孔が周期的に形成されている。左上=空気孔の拡大図 / 右上=空気孔の断面図 / 下=光ナノ共振器周辺の全体図

 さらに複数のサンプルの特性評価を行ったところ、平均で150万、最高で200万以上のQ値を得られたことを確認した。産総研では、「フォトリソグラフィー法でこのような高Q値が得られたことは、専門家の間でも驚くべきことで、産総研のシリコンフォトニクス研究に基づく半導体製造技術力が世界トップレベルにあることを示している」と成果を評価する。


図4:左=Q値150万を持つナノ共振器の共振スペクトル / 右=光ナノ共振器が光っている赤外カメラ写真 出典:産業技術総合研究所
スペクトルの線幅1.1pmと共振波長1607nmから見積もられるQ値(共振波長/線幅)は150万となる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る