東芝は2016年3月17日、白物家電事業を中国の家電メーカーである美的集団に譲渡することで、美的と基本合意したと発表した。2016年3月末までの最終合意を目指す。譲渡額などは、今後の協議で決める。
シャープなどとも交渉の末
東芝は2015年12月に発表した構造改革策「新生東芝アクションプラン」で、テレビなど映像機器を除く、家電事業を他社との事業再編を視野に入れて構造改革を推進すると表明し、複数社との協議を実施してきた。当初は、東芝と同様に経営再建中のシャープと家電事業を統合する方向で協議を実施していたが、シャープが家電事業を含む一体的な経営再建の道を選択したため、交渉先を海外にも広げ、事業譲渡先を模索してきた。
譲渡先の美的集団は1968年に設立。「Midea(ミデア)」のブランド名で空調、冷蔵庫、洗濯機、小物家電などを展開。2014年の売り上げ規模は約230億米ドル。
基本合意内容は、テレビなど映像機器事業と白物家電事業を展開する東芝の子会社東芝ライフスタイルから映像機器事業を切り離し、白物家電事業のみとなる東芝ライフスタイルの株式の過半を美的集団に譲渡するというもの。白物家電事業の売上高規模は2015年3月期実績で2254億円だった。
映像機器事業については「(白物家電事業の)譲渡完了後もグループ内で事業を継続する計画」と従来通り事業継続方針を表明している。
半導体投資、医療機器事業売却も発表
なお、東芝は同日、NAND型フラッシュメモリの新製造棟建設投資を決定した他、医療機器事業子会社東芝メディカルシステムズをキヤノンを譲渡先として約6655億円で売却。2016年3月18日午後には、事業計画説明会を実施し、一連の再建策の進み具合などを説明する見込みだ。
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