IoT向けに進化するBluetooth、メッシュも対応へ:“つながることから、命が始まる”(1/2 ページ)
Bluetooth技術の認証団体であるBluetooth SIGは、2016年の技術ロードマップを発表した。主に、通信範囲の拡大/通信速度の向上/メッシュネットワークへの対応を行い、IoT向けにアップデートを行う。これにより、位置情報サービスやオートメーションアプリの可能性を広げるという。
「つながることから、命が始まる」――。Bluetooth技術の認証団体であるBluetooth SIG(Special Interest Group)が公開した動画には、このような文言が並ぶ。今やスマートフォンやウェアラブル端末に当たり前のように標準搭載されるBluetooth。Bluetooth SIGは、今後の展開に向けた2016年の技術ロードマップを発表した。
キーワードとなるのは、やはり“IoT(モノのインターネット)”である。米国の市場調査会社であるABI Researchの予測によると、2020年までのIoTデバイス出荷台数は450億個。そのうち、約140億個がBluetooth搭載デバイスになるという。Bluetooth SIGで開発者プログラムディレクターを務めるSteve Hegenderfer氏は、「IoT向けの拡張機能としてアップデートを3つ、2016年に行う予定だ」と語る。
通信範囲を最大400mに
1つ目は、通信範囲の拡大だ。Bluetooth 4.0ベースのBluetooth Low Energy(BLE)では、Class 1対応でも通信範囲は50〜100mが限界といわれていた。2016年のアップデートでは、通信範囲を最大4倍まで拡大する予定。Steve氏は、「既に、シリコンラボが提供するSoC『Wireless Blue Gecko』は、通信範囲400mを実現している」とした。
シリコンラボでIoTスペシャリストを務める水谷章成氏は、Bluetooth SIGの発表会において製品を展示し、「Wireless Blue Geckoでは、最大出力19.5dBmとリンクバジェットを重視したデバイスにしたことで、消費電力は従来とそれほど変わらずに、BLEで通信距離400mを達成した」と語る。
通信速度を2倍に
2つ目のアップデートとして、Steve氏は「消費電力は従来のまま、通信速度を2倍に向上し、応答速度の向上/待機時間の短縮を実現すること」を挙げる。
メッシュネットワークへの対応
3つ目は、メッシュネットワークへの対応だ。現行のBluetoothによる通信は、ピアツーピア(P2P)で行われているため、機器間に無線干渉がある場合や、ビルの壁などで電波が遮られる場合は、使用できなくなることもあった。
メッシュネットワークに対応すると、メッシュ状に接続されたBluetooth対応機器同士が、リレーするような形で通信が可能になる。つまり、ビルの壁や障害物があったとしても、仲介するBluetooth対応機器があれば、その機器が中継役を果たしてくれるのだ。これにより、大規模なネットワークを自律的に形成でき、ビルや住宅、産業機器などのオートメーションアプリの可能性を広げることができるという。
Bluetoothを活用したメッシュネットワークは、CSRが「CSRmesh」として2014年2月に発表。2015年1月には、CSRmeshの技術情報をベースとしたメッシュネットワークの実用化に向けたワーキンググループも立ち上げ仕様策定に入るなど、活発な動きを見せている(関連記事:Bluetooth SIGが「Smart mesh WG」を立ち上げ)。
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