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ペロブスカイト太陽電池、世界最高級の変換効率1cm角のセルサイズで18%超を達成

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、1cm角のペロブスカイト太陽電池セルで、エネルギー変換効率18%超を達成した。

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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは2016年3月、1cm角のペロブスカイト太陽電池セルで、エネルギー変換効率18%超を達成したと発表した。2016年中にも標準面積(1cm角)のペロブスカイト太陽電池で、変換効率20%を実現していく考えだ。

 ペロブスカイト太陽電池は、用いる材料が安価なことや、比較的製造が簡便な塗布プロセスで大量生産が可能なことから、製造コストを大幅に削減できる可能性がある。このためNEDOは、従来型火力発電並のコストである7円/kWhを当面の目標として、太陽電池の開発プロジェクトを推進している。


ペロブスカイト太陽電池の構造図 出典:NEDO、NIMS

 ペロブスカイト太陽電池は、世界中の研究機関などで開発が進められている。これまでにエネルギー変換効率が20%超の開発事例も報告されてはいるが、試作/評価したセル面積が0.1cm角と小さく、測定誤差も大きいという。そこで今回は、ペロブスカイト層の品質を高め、太陽電池構造も性能を高めるための最適化などを行った。これにより、1cm角のセルで18.2%という世界最高レベルのエネルギー変換効率を実現した。

 具体的には、太陽光の吸収効率を上げるために、ペロブスカイト材料として用いる2種類のカチオンの混合比を最適化した。ヨウ素の一部も臭素に置き換えた。これによって、ペロブスカイト層の欠陥が少なくなり、大きな結晶粒子を得ることができた。この結果、光照射で形成された電子とホールを効率よく取り出すことができるようになり、短絡電流密度を21mA/cm2以上に向上させることが可能になったという。

 同時にペロブスカイト層や電子輸送層、電子抽出層などの材料と膜厚の最適化も行った。これによって、太陽電池内部の電気抵抗を低減することができ、太陽電池の特性を示すパラメーターの1つである曲線因子を、約2割向上することに成功したという。試作した1cm角の太陽電池セルを産業技術総合研究所(AIST)太陽光発電研究センターで測定した結果、変換効率が18.2%であることを確認した。

 研究チームでは、今回の成果を基に、高性能材料の組み合わせや各層における膜厚の最適化などについて検討を加え、2016年中に1cm角のペロブスカイト太陽電池で、変換効率20%を達成していく計画である。さらに民間企業と共同で、これらの成果を実用化するための研究も積極的に推進していく方針である。

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