「iPhone SE」のBOMコストは160米ドル:IHSが試算
IHSがAppleの「iPhone SE」を分解し、部品コスト(BOMコスト)を試算した。それによると、iPhone SE(16GB版)のBOMコストは160米ドルだという。既存の機種と同じ、あるいは最適化した部品を採用することでコストの上昇を抑え、利益を出しやすくしたとIHSは分析する。
市場調査会社のIHSがAppleの「iPhone SE」を分解したところによると、iPhone SE(16GB版)の部品コストは160米ドルと見積もることができるという。IHSが2016年4月4日(米国時間)に発表した。16GB版のiPhone SEの販売価格は、399米ドルだ。
部品 | サプライヤー | コスト(推定値、米ドル) |
---|---|---|
ディスプレイ | LG Display | 20.00 |
プロセッサ | Apple | 22.00 |
ベースバンドIC | Qualcomm | 15.00 |
NAND型フラッシュメモリ | 東芝 | 3.60 |
DRAM | SK Hynix | 11.80 |
電源管理IC | Qualcomm/ Dialog Semiconductor |
6.50 |
RF IC | Qualcommなど | 13.75 |
ユーザーインタフェース関連IC | NXP Semiconductorsなど | 3.45 |
カメラモジュール | − | 13.30 |
無線LAN/Bluetooth/GPS関連 | − | 5.75 |
センサー類 | InvenSense/ アルプス電気など |
5.45 |
バッテリーパック | Huizhou Desay Battery | 2.15 |
その他 | − | 33.45 |
部品コスト合計 | 156.20 | |
組み立てコスト | 3.80 | |
合計 | 160.00 | |
出典:IHS |
同じ部品の採用で利益を出しやすく
IHSは、「iPhone SEには、iPhone 5s/iPhone 6/iPhone 6sで使われている多くの部品が採用されていることが分かった」と分析している。例えば、筐体(きょうたい)とディスプレイはiPhone 5s、RF ICはiPhone 6、プロセッサ「A9」はiPhone 6sといった具合である。IHSは、iPhone SE(64GB版)1台当たりのAppleの利益は約89米ドルと試算している。
iPhone SEの中で最もコストが高い部品の1つはディスプレイだ。ただし、IHSは、20米ドルというコストは、iPhone 5sに使われたディスプレイのコストの約半分だとしている。iPhone 5sが製造された時期から2年半がたち、ディスプレイコストが低下したので、iPhone SEでは利益を出しやすくなっている。
IHSが分解したiPhone SEのディスプレイはLG Display製だが、ジャパンディスプレイとシャープもディスプレイを提供しているという。IHSによると、iPhone用ディスプレイの約40%はジャパンディスプレイが、35%はLG Displayが、25%はシャープが供給している。IHS Technologyのディスプレイ部門でシニアディレクターを務めるDavid Hsieh氏は、「iPhone用ディスプレイは製造が難しいので、十分な数を確保するためにAppleは3社をディスプレイサプライヤーとして認定している」と説明する。
iPhone SEに搭載されているRF ICの多くはiPhone 6で採用されたものだが、コストの削減と性能の向上のために最適化されていると考えられる。特にフロントエンドモジュールは、できるだけ多くのLTE周波数帯に対応し、より多くの通信事業者(キャリア)が提供できるようにしていると、IHSは分析する。
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