Micron、2016Q2は売上高が30%減に:DRAMの価格下落で
メモリに対する強い価格圧力は続いているようだ。Micron Technologyの2016年度第2四半期における売上高は、前年同期比で30%減少した。ただし、Micronは、長期的な視野で見ると、DRAM業界には健全性が戻ってくるとしている。
米国のメモリチップベンダーであるMicron Technologyは2016年3月30日(現地時間)、2016年度第2四半期(同年3月3日を末日とする)の業績を発表した。同社はその中で、DRAMとNAND型フラッシュメモリへの継続的な価格圧力に言及した。Micronは同四半期の売上高が前期比12%減、前年同期比30%減となる29億3000万米ドル、利益が9700万米ドルであったことを明らかにした。利益は、2016年第1四半期が2億600万米ドル、2015年第2四半期には9億3400万米ドルの利益だった。
MicronのCEOであるMark Durcan氏は、アナリストとのカンファレンスコールの中で「この結果はPC市場の継続的な鈍化、季節的要因、特定の市場セグメントでの製品発売のタイミングによるものだ」と述べた。
Durcan氏は今後、新製品の生産量の増加や品質の強化を並行して行っていると述べた。これらの新製品には、20nmプロセスを適用したDDR4 DRAM、低消費電力のDDR4、3次元NANDなどが含まれる。urcan氏は「当社は強力な進歩を遂げてきたものの、技術の転換期や生産量を顧客の認知サイクルや市場の季節性と的確に結び付けることは常に困難である」と述べた。
Micronは2016年第2四半期にDRAMの平均販売価格(ASP)と売上高が同年前期に比べて約10%ずつ下落したと述べた。NANDの販売数は伸びたものの、ASPが15%下落したことが主な原因となり、売上高は約6%減少した。
Micronの経営幹部らは、過去数カ月メモリチップ業界を悩ませている価格圧力が和らぐとは見込んでいないと述べた。一方で、今後は、ビット換算での出荷量の増加とさらなるコスト削減を計画していることから、2016年下半期には競争力を高められる見込みであるとした。
長期的には健全性が戻る
Durcan氏は「より効率的な先端のプロセスノードを用いて新製品を製造することで、2016年下半期以降は、競争力を大幅にできると確信している」と述べた。同氏は、2016年の残りの期間に、DRAMのビット成長率が減少し、2017年には20%以下にまで落ち込むとみているという。ただし、長期的な視野で見ると、DRAMの需要が伸びて、結果的には市場原理に健全さが戻るとの見解を示した。「少し時間はかかるだろうが、健全な市場環境が戻ってくると考えている」(Durcan氏)。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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