多層印刷によるTFT素子への適用事例も初公開:DICのプリンテッドエレクトロニクス用インク(1/2 ページ)
DICは、「第26回 ファインテック ジャパン」で、各種印刷システムに適合するプリンテッドエレクトロニクス用インクを紹介した。TFT素子への適用事例も初めて会場で公開した。
DICは、「第26回 ファインテック ジャパン」(2016年4月6〜8日、東京ビッグサイト)で、各種印刷システムに適合するプリンテッドエレクトロニクス用インクを紹介した。山形大学の協力を得て、多層印刷によるTFT素子への適用事例も初めて会場で公開した。
開発したインクは、インクジェットやグラビアオフセット、凸版反転印刷など、さまざまな印刷システムに適合したプリンテッドエレクトロニクス用インクである。凸版反転印刷用インクは、ラインアンドスペース(L/S)で5μm/5μm以下と、高精細なパターンを実現することが可能である。また、200枚連続印刷(印刷サイズは500×500mm)で良品率94.9%となるなど、生産性にも優れているという。
今回は、配線材料としての用途に加えて、線幅10μmのフルプリンテッドTFT素子と、この素子を活用して作製したD-フリップフロップ回路などを初めて公開した。6層の印刷技術を用いたという。
プリンテッドエレクトロニクス用インクの主な用途としては、タッチパネルや電子ペーパー、ディスプレイ、太陽電池などの配線や電極形成、プリント基板やアンテナ、電磁波シールド、センサーなどの形成などがある。さらに、プリンテッドTFT素子を活用したセンサーや通信モジュールなども挙げた。
「印刷プロセスだとインクの量は、必要な部分のみに必要な量だけで済む。従来のフォトリソプロセスに比べて、生産設備が少なくて済み、使用する材料の量やコストを節減することができる。比較的低温プロセスで処理するため、PET樹脂基材などへの印刷も可能である」(説明員)と話す。新たに開発したインクはすでにサンプル出荷を始めている。
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