Facebook、無線インフラの開発に攻勢:WiGigベースの基地局など(1/2 ページ)
Facebookが、よりつながりやすい環境の実現を目指し、無線通信インフラ向けの技術を発表した。
Facebookは2016年4月13日(米国時間)に行われた開発者向けカンファレンス「F8」において、世界中のネットワークの接続性を向上すべく、2種類の通信インフラ向け技術を発表した。FacebookのConnectivity Labが開発しているもので、「Terragraph」と「Project ARIES(Antenna Radio Integration for Efficiency in Spectrum)」である。
WiGigベース
Terragraphは、60GHz帯を利用するWiGigをベースにした基地局だ。フェーズドアレイアンテナを搭載している。人口密度が高い都市部でもつながりやすい環境を実現することを目指すという。
60GHz帯は使用できる帯域幅が7GHzと広いことから高速通信が可能な上に、ライセンスが不要な周波数帯でもある。ただし、障害物に電波が遮断されやすいという特性から、FacebookはTerragraphを200〜250m間隔で配置するとした。
Facebookによると、Terragraphには、同社がデータセンターインフラの管理向けに開発した技術も用いている。例えば、IPv6ノードやクラウドコンピューティングコントローラー、新しいモジュール式のルーティングプロトコルなどを実装して、より高速なコンバージェンス(ルートの収束)や異常検知を実現するという。さらに、現状のTCP/IPの欠点を解消すべく、MAC層を新たに再設計した。高性能のTDMA-TDD MACを実装することで、ネットワーク性能が既存のWi-Fi/WiGigに比べて最大6倍向上できるという。Facebookは、道路上レベルでのカバレッジを100%に近づける低コストの方法として、TerragraphとWi-Fiアクセスポイントを組み合わせることを提案している。
現在、Facebookの本社がある米国カリフォルニア州メンローパークでTerragraphの実証実験を行っている。さらに、メンローパークの南に位置するサンノゼでの実験も行う予定だ。同社によると、メンローパークでの実験ではポイント・ツー・ポイントの双方向通信で1.05Gビット/秒の速度を実現したという。
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