Facebook、無線インフラの開発に攻勢:WiGigベースの基地局など(2/2 ページ)
Facebookが、よりつながりやすい環境の実現を目指し、無線通信インフラ向けの技術を発表した。
96個のアンテナ素子を搭載
Project ARIES(以下、ARIES)は、スペクトラム効率(一定の帯域幅で送信できるビット数)とエネルギー効率(一定のエネルギーで送信できるビット数)を大幅に向上すべく、テストプラットフォームを構築するというプロジェクトだ。ARIESで試作されている基地局は96個のアンテナ素子を搭載し、同じ周波数帯において24のデータストリームを同時にサポートできるという。現時点でのスペクトラム効率は71ビット/秒/Hz(bps/Hz)。完成品では、100bps/Hzを超えるスペクトラム効率を目指す。
大規模MIMOなどのアンテナ技術も採用するとしていて、2020年に一部商用化が期待されている5G(第5世代移動通信)ネットワークに組み込むことを想定しているという。
さらにFacebookは、ARIESの技術を無線技術開発のコミュニティーや研究機関に向けてオープンにしたいと発表している。
Facebookは、このところネットワークの接続性の向上に力を入れている。同社はフランスの通信衛星運営企業であるEutelsat(ユーテルサット)と提携し、2016年後半からアフリカ南部で衛星インターネットアクセスを提供すると発表した。
Facebookと同様にGoogleなどもWi-Fiや無線関連の技術/サービス開発に注力している。無線LANビジネス推進連絡会 会長の小林忠男氏は、資金力のあるこうした大手OTT(Over the Top)が本気で無線技術/サービスに投資し始めたら、他の企業は歯が立たないのではないか、と指摘している。
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