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60〜200Wワイヤレス給電の実現へ、新WGが発足ボッシュ中心にキヤノン、デル、ダイソンが初参加(1/2 ページ)

「Wireless Power Consortium(WPC)」会長のMenno Treffers氏は2016年4月、東京都内でワイヤレス給電規格「Qi」のロードマップを説明した。最大受電電力15Wの急速充電が可能になる仕様に加えて、60〜200Wの実現に向けた新しいワーキンググループが発足されたと発表した。

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 ワイヤレス給電規格「Qi(チー)」の普及を推進する業界団体「Wireless Power Consortium(WPC)」は2016年4月、東京都内で展示会とセミナーを開催し、WPC会長のMenno Treffers氏がQiの普及状況やロードマップなどについて説明を行った。

2014年までに20億個

 Qiとは、市場で最も普及する電磁誘導方式のワイヤレス給電規格である。Menno氏によると、WPCには現在、世界20カ国から226社がメンバーとして加盟している。既に、80機種の携帯電話機、23モデルの自動車にQiのワイヤレス給電機能が搭載されており、ワイヤレス給電のデバイス数でみると1億5000万個が市場に出ているという。

 調査会社IHSによると、2015年のワイヤレス給電市場は前年比150%増となっており、2016〜2017年市場は毎年2倍ずつ成長すると予想している。2024年までには、ワイヤレス給電の受信機が20億個に到達するとしている。


WPCの会長であるMenno Treffers氏

 Qiの従来仕様は、最大受電電力5Wの「Qi Low Power」だ。今回、新しい動きとして最大受電電力15Wの高速充電が可能になる仕様が発表された(関連記事:15Wワイヤレス給電仕様が公開、2つの新たな方式)。Menno氏は「今後は、充電距離の拡大や低コストのマルチデバイス普及を進めていく」と語る。また、60〜200Wのワイヤレス給電実現に向けて、新しいワーキンググループ(WG)が発足された。

 セミナー終了後、Menno氏にQiのロードマップや日本におけるワイヤレス給電市場、新しいWGについて、より詳細な部分を聞くことができた。

Samsung Electronics「Galaxy」が普及のけん引役


STマイクロエレクトロニクスが展示した15Wワイヤレス給電に対応した送信機 (クリックで拡大)

EE Times Japan(以下、EETJ) 今回、セミナー&展示会を開催した狙いは?

Menno Treffers氏(以下、Menno氏) 狙いは2つある。1つ目は、現状どんな製品が出ていて、これからどのような製品が出るのかを知ってほしい。2つ目は、Qiが搭載されている製品をもっと開発してもらい、世の中に出していくきっかけにすること。15Wのワイヤレス給電が広がっていく雰囲気を、皆さんに感じていただけたらと思っている。

EETJ 2017年には、iPhoneとiPadにも搭載されるといったうわさがあったが……(関連記事:iPhoneとiPadのワイヤレス給電、2017年に実現か)。

Menno氏 その回答は、Appleにお任せしたい(笑)。Appleは秘密主義なので、自らアナウンスするまではうわさでしかない。WPCのメンバーがAppleの社員と話していても、搭載されるかどうかといった話は絶対にしないはずである。

EETJ 日本でのワイヤレス給電普及はどのように考えているか?

Menno氏 海外では多く普及しているが、日本ではそれほど普及していない。ワイヤレス給電対応のSamsung Electronics「Galaxy」(シリーズごとの目標販売台数が6000万台)が海外で普及したのに対して、日本ではそれほど普及しなかったことが要因だ。

 また、NTTドコモと話したときに、「正直、5Wでの導入は早すぎた」という印象があったことを聞いた。15Wに対応できると、通常のACコードの給電は約7.5W程度なので、数字上は2倍の速さで充電が可能になる。ワイヤレスなのに充電が速いのを達成できることが重要なポイントになるので、今後日本での普及も期待される。

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