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60〜200Wワイヤレス給電の実現へ、新WGが発足ボッシュ中心にキヤノン、デル、ダイソンが初参加(2/2 ページ)

「Wireless Power Consortium(WPC)」会長のMenno Treffers氏は2016年4月、東京都内でワイヤレス給電規格「Qi」のロードマップを説明した。最大受電電力15Wの急速充電が可能になる仕様に加えて、60〜200Wの実現に向けた新しいワーキンググループが発足されたと発表した。

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15Wは安全性の確保を特に重視

EETJ 15Wのワイヤレス給電では、仕様にどのような違いがあるのか。

Menno氏 仕様に関しては、現在改善を行っているところなので、正式な発表まではもう少し期間をもらいたい。しかし、5Wと比較して電力が3倍になるため、発熱や異物検出に対しての検証は重点的に行っている。また、送信機と受信機が今まで片方向で通信していたのに対して、双方向での通信とした。これにより、異物の有無情報などを送ることができるため、安全性はより高まっているといえるだろう。


自動車業界におけるQiの普及状況。トヨタ自動車やアウディ、メルセデスなどが既にワイヤレス給電機能を搭載。Menno氏によると、韓国の自動車メーカーである起亜自動車も、2017年から搭載することが決定しているという (クリックで拡大) 出典:WPC

EETJ 他のワイヤレス給電規格であるA4WPとPMAの合併が、2015年11月に発表された(関連記事:A4WPとPMAが合併、「AirFuel Alliance」が誕生)。今後、ワイヤレス給電規格が1つにまとまるといった方向性は考えられるか。

Menno氏 WPCとPMAのワイヤレス充電は電磁誘導方式なのに対して、A4WPは磁界共鳴方式を提供してきた。PMAとA4WPは合併して「AirFuel Alliance」となったが、それぞれの規格がバラバラなので、機器が2つのモードを持っていなければならない。そこに、WPCが加わるとしたら3つのモードが必要になるのだ。

 複数のフォーマットをサポートするには、機器の価格が非常に高くなってしまう。そのため、最終的には1つの規格に絞られていくと考えている。WPCは、コスト面や実績を含めて他の規格より優れているので、最後はWPCに落ち着くのではないだろうか。

ノートPCやドローン向けに60〜200W実現へ


WPCの会長であるMenno Treffers氏

EETJ WPCの今後の展開は。

Menno氏 本日(2016年4月8日)、60〜200Wのワイヤレス給電実現に向けて新しいWGが発足された。ノートPCやドローンなどが対象となる。ボッシュがチェアを務め、キヤノン、デル、ダイソンが初めて参加した。

EETJ いつ実現できそうか。

Menno氏 今いえることは、スペックを作り始めたということぐらいである。ワイヤレス給電の世界は、何十メートル離れても充電できるといった夢のある話が多い。しかし、実現できないケースがほとんどで、不用意に言うと「またか」と思われてしまうだろう(笑)。確実に決まった時点で、皆さんにお伝えしていきたいと思っている。

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