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すでに夢の推定も、次世代AIとして研究進む“脳”将来的には体の不自由な人の意思表示にも(2/3 ページ)

情報通信研究機構(NICT)は2016年4月、第4期中長期計画のスタートにおける3つの強化策の発表とともに、「脳をリバースエンジニアリングする」と題して、脳と研究成果の発表を行った。

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空想した画像をWeb検索できる?

 ここからは、西本氏が紹介した研究成果の一部を紹介する。1つ目は、脳活動を解読することで一定精度の知覚体験の映像化に成功していることである。

 知覚体験の映像化は2つのフェーズに分かれている。最初に、ある映像を見たときの脳活動から脳のモデルを構築する。次に、新しい映像を見たときの脳活動と構築した脳モデルを組み合わせることで、新しく見た映像を一定精度で推定できるという。

左=脳活動からの知覚体験解読/右=脳活動から知覚意味内容の解読にも一定精度で成功している。文字の大きさが意味のデコーダーの確信度を表しているという (クリックで拡大) 出典:NICT

 西本氏は、「同成果の応用例として、空想した画像をWeb検索して情報を引き出すことが、2015年に発表された論文で立証されている」と語る。また、知覚体験の意味内容の解読にも成功しており、限られた精度だが夢の内容の推定できるようになった。

“人と動物”は“人と乗り物”くらい違う

 西本氏が次に挙げたのは、脳内における事物間の表示類似度を定量化することだ。「たくさんの動画を見ているときの脳活動からモデルを構築することで、脳が持つ世界観(意味空間)を可視化することにも成功している」(西本氏)という。


脳が持つ世界観を知る。「text(文字)」は、あらゆる事物とは別物として表されていることが分かる (クリックで拡大) 出典:NICT

 上記の画像における1つ1つの点が「男」「車」「部屋」といった事物を表しており、配置距離の差が脳内における類似度を表している(近い場合は類似度が高い、遠い場合は別物として遠くに配置されている)。西本氏は、「ここで面白いのは、“脳は現代生物学を理解していない”ことである。現代生物学によると、人は動物の一種である。しかし、脳はそう思っていない。脳の中における“人と動物”は、“人と乗り物”と同じ程度には違うものであると解釈していることが分かる」と語る。

 脳の世界観を知ることは、将来的に人間と接する人工知能が持つべき世界観/常識の答えを抽出することに応用できる。例えば、教科書的な人工知能は「人間は動物の一種である」と思う。しかし、同研究成果を応用することで「人間と動物は違う」といった、社会により親和性の高い考え方を人工知能に導入できるとした。

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