0.03μm2のSRAMから最先端のIII-V族FinFETまで:「VLSI技術シンポジウム 2016」プレビュー(4/5 ページ)
米国ハワイで2016年6月13〜16日に開催される「VLSI Symposia on VLSI Technology and Circuits(以下、VLSIシンポジウム)」は、最先端の半導体デバイス/回路技術が一堂に会する国際会議だ。VLSIシンポジウムを実行するVLSIシンポジウム委員会は4月20日、都内で記者説明会を開催し、同イベントの概要と注目論文を紹介した。
メモリ技術
TDKの米国子会社であるTDK-Headway Technologiesが、750ピコ秒のパルス幅でも動作することを実験的に確認した、高速動作のSTT-MRAM(スピン注入磁化反転型磁気メモリ)を発表する。8Mビットに集積し、3ナノ秒のパルス幅でも、ECC(Error Check and Correct)なしで全アレイを書き込めることを確認し、さらに125℃でも10年間の動作を保証できる(10年後の不良レートが1ppm)ことも示したという。
東芝は、16nm CMOS技術を用いたSTT-MRAMを発表する。1〜3ナノ秒という高速の書き込み速度および100μA以下の低スイッチング電力を実現していて、昌原氏は「キャッシュメモリの代替として使える可能性が高いことを示している」と説明する。
MacronixとIBMは、PCM(相変化型メモリ)を発表する。両社はPCMのプログラム電力を低減すべく、新しいPCMを提案する。PCMでは、化合物材料が結晶相とアモルファス相を行き来する(相変化)際に、エントロピーのところでエネルギーが大量に消費されてしまい、低消費電力化が難しかった。MacronixとIBMは、粒状の結晶(結晶粒)を利用し、それらの全域が結晶しなくても、一部が結晶化して電流の通り道ができ、上下の電極間で電流が流れるようになったら記録できるようにする方法を開発した。両社はこれを「Inter-Granular Switching(結晶粒間でのスイッチング)」と呼ぶ。このように相変化の領域を全域ではなく、局所的にすることでエネルギーが抑えられるとする。この結果、8.3μAという従来の43μAに比べて約5分の1の電流で、PCMのメモリ効果を生むことができるという。
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