「ムーアの法則」を超えた進化:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(4)(3/3 ページ)
Intelをはじめとした半導体メーカーは「ムーアの法則」に従うように、ほぼ2年に1度のペースで新たな微細プロセステクノロジーを導入し進化を続けてきた。しかし、近年は少しその様子が変わりつつある。特に台頭著しい新興メーカーは、独自のペースで進化を遂げてきている。
ムーアの法則は続く
2016年、Intelは開発モデルを「Tick Tock」と呼ぶ「プロセス開発→アーキテクチャ開発」を毎年交互に行うモデルから、「PAO」と呼ぶ「プロセス開発→アーキテクチャ開発→オプティマイズ開発」の順で繰り返す開発モデルへと切り替えると宣言した。この宣言により、一部ではムーアの法則が最期を迎えたとの見方もあるようだが、ムーアの法則には、まだ先がある。10nm、7nmの開発計画はTSMCなど製造大手が公言しており、必ずや実現されるだろう。そして、Spreadtrumのように、複数のステップを飛び越して「現在」に至って、市場にたどり着くものもいるだろう。
「超ムーアの法則」の世界
図3は、中国で続々と生まれるベースバンド・プロセッサの一例である。
ZTEのLTE対応ベースバンドはドングル端末などで活用され、RDAはアンプからスタートしたものの、現在ではベースバンドも供給している。彼らもSpreadtrumと同じく、2世代、3世代をいきなり飛び越えて新市場に入っている。その意味では「超ムーアの法則」の世界があると、捉えることも可能なのかもしれない。
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筆者Profile
清水洋治(しみず ひろはる)/技術コンサルタント
ルネサス エレクトロニクスや米国のスタートアップなど半導体メーカーにて 2015年まで30年間にわたって半導体開発やマーケット活動に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見と経験を持っている。現在は、半導体、基板および、それらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの代表取締役兼上席アナリスト。テカナリエは設計コンサルタントや人材育成なども行っている。
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