無線充電の今、大電力の本命は?:TECHNO-FRONTIER 2016(3/4 ページ)
さまざまな非接触給電・充電(無線充電)システムの展示が「TECHNO-FRONTIER 2016」(2016年4月20〜22日/幕張メッセ)に集まった。ダイフクは電動フォークリフト向けの非接触充電システムを展示。世界初の実用化だと主張する。メートル単位の電力伝送が可能な「磁界共鳴方式」との違いなど、技術の内容を中心に特徴を紹介する。
磁界共鳴との関係は
非接触の電力伝送では電磁誘導方式以外に、磁界共鳴方式が有力だ。それぞれの方式のどちらが「本命」なのだろうか。
「非接触電力伝送のターニングポイントはなんと言っても米MITが2007年に見せた磁界共鳴のデモだろう。それまでの数センチの伝送が、MITのデモでは2mだったからだ。この後、さまざまなアプリケーションの可能性が開き、企業の研究が進んだ」(布谷氏)。
布谷氏が最初に抱いた疑問は、電磁誘導と磁界共鳴は何が異なるのかというものだった。「エレクトロニクス専門誌が報じたように、両方式の等価回路は同じだ(図6)。電磁誘導方式は1次コイルと2次コイルの間の電磁誘導作用で電力を送る。だが、実際には当社も他社もコイルの他にコンデンサを用いており、コイルのLとコンデンサのCで共振させている。これは磁界共鳴と同じだ」(布谷氏)。
電磁誘導方式と磁界共鳴方式の能力の違いは、電力伝送距離にあると考えられがちだが、それだけではない。図7に挙げたように、電磁誘導方式は伝送距離が短いものの、大電力を送ることができる。磁界共鳴方式は距離が長いものの、送ることができる電力が幾分小さい。
「両方式とも距離、電力をいずれも伸ばす方向に動いている。図7中にある赤い丸印は当社の技術だ。下側の赤い丸印は既に製品化済みであり、上側の赤い丸印は技術開発を完了し、顧客の要望に応じて製品化が可能だ」(布谷氏)。
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