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世界初の試験運用を目指す韓国、冬季五輪が勝機にノキアの取り組みで探る5G最前線(1)(1/3 ページ)

研究開発が加速し、さまざまな実証実験が進む5G(第5世代移動通信)。目標とされる一部商用化の開始は、2020年――。あと5年もないのである。標準化はようやく開始されたが、それ以外では実際のところ、どこまで進んでいるのだろうか。本連載では、5G開発に取り組むノキアが、韓国、中国、欧州、米国、日本の各エリアにおける“5G開発の最前線”を探っていく。

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加速する5Gへの取り組み

 2020年に一部商用化が期待される5G。10Gビット/秒(Gbps)の通信速度や1ミリ秒以下の低遅延などの要件の実現に向け、まさに今、標準化が進んでいるさなかである。

 5Gでは、これまでにない通信容量や低遅延を持つことから、自動車やIoT(モノのインターネット)など、既存のモバイルネットワークでは関連性が薄かった分野を巻き込むことになると予想されている。通信機器メーカーをはじめ、通信事業者(キャリア)、計測器メーカー、世界中の大学や研究機関が積極的に5Gの研究開発に取り組んでいる。Nokia(ノキア)もその1つだ。

 本連載では、5Gの開発が進んでいる5つの国/地域に焦点を当て、その最前線をノキアの視点でお届けする。

 第1回となる今回は韓国を取り上げる。2018年の冬季オリンピックで5Gの試験運用を計画していることもあり、5G開発では世界で最も精力的に取り組んでいる国の1つである。

モバイル通信に積極的な韓国

 韓国は、特にモバイル通信のテクノロジーとサービスにおいて先進的な国だ。例えば、2012年には世界で初めて、国内の全モバイル通信事業者(SK Telecom、KT、LG U+の3社)が全国規模の4G LTE(Long Term Evolution)ネットワークカバレッジを達成した。また、VoLTE(Voice over LTE)とLTE-Advanced CA(キャリアアグリゲーション)も、世界に先駆けて商用化している。

 2016年2月の時点で、韓国のLTE普及率、スマートフォン普及率は共に80%を超えている。つまり、スマートフォンの4G LTE市場は飽和状態にあり、通信事業者が5Gなどの新たなテクノロジーや、IoT(モノのインターネット)およびM2M(マシンツーマシン)通信によって実現される新たなサービスを推進するのも当然だといえるだろう。

 さらに、2018年に韓国で開催される一大イベント、平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックは、新たなテクノロジーやサービスの試験運用を行う絶好の機会になると考えられている。同国には5Gを推進する十分な理由があり、その機運も高まっているのだ。


韓国における携帯電話およびIoTサービスの月次新規加入数の推移(クリックで拡大) 出典:韓国の未来創造科学部

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