世界初の試験運用を目指す韓国、冬季五輪が勝機に:ノキアの取り組みで探る5G最前線(1)(2/3 ページ)
研究開発が加速し、さまざまな実証実験が進む5G(第5世代移動通信)。目標とされる一部商用化の開始は、2020年――。あと5年もないのである。標準化はようやく開始されたが、それ以外では実際のところ、どこまで進んでいるのだろうか。本連載では、5G開発に取り組むノキアが、韓国、中国、欧州、米国、日本の各エリアにおける“5G開発の最前線”を探っていく。
国が5Gを後押し
韓国政府のMSIP(未来創造科学部)は、2014年1月に「未来移動通信産業発展戦略(Creative 5G Mobile Strategy)」を策定した。その狙いは、2018年のオリンピック開催中に5Gの試験的サービスを提供するとともに、2020年に商用5Gサービスを展開することにより、5G時代のモバイル通信における技術的なリーダーとしての地位を維持することである。この戦略に基づき、コンテンツ(C)、プラットフォーム(P)、ネットワーク(N)、デバイス(D)から成るモバイル通信のエコシステム全体の発展が期待される。さらに、5G無線およびネットワークのテクノロジー、周波数帯、サービスについて、産業界、学界、研究機関の連携を促進する目的で、5Gフォーラムが設立された。
2018年の試験サービスでは28GHz帯が有力
5Gでは、使用する周波数帯が、重要な検討事項の1つになっている。6GHzを超える周波数帯の利用を検討している国もあれば、6GHzよりも低い周波数帯、さらには両方の周波数帯の利用を検討している国もある。
韓国では、2018年の5G試験サービスで利用される周波数帯は28GHz帯が有力候補とされている。
高周波数帯の利用にはメリットもデメリットもある。例えば、28GHz帯のカバレッジは、800MHz帯から2.6GHz帯までのような現在のモバイル周波数帯の場合と同等にならない可能性がある。しかし、ITUの5G要件に近いPDR(ピーク・データ・レート)である20Gbpsを達成しようとするなら、十分な帯域幅を確保する必要がある。低周波数域では通常、そのような高いPDRを達成できるだけの広い帯域幅は得られないため、センチメートル波やミリ波等の高周波数域の利用を検討しなくてはならない。
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