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たまたま生まれたIoTが工事現場の電力を2割削減NIのカスタム計測器「CompactRIO」を活用(1/2 ページ)

日本ナショナルインスツルメンツ(NI)は、カスタム計測器「CompactRIO」を活用したIoTシステムの事例を公開した。試験的に導入したトンネル工事現場では、消費電力を約2割削減することを実現している。日本NIの岡田一成氏は、「IoTは何をしたらいいか分からないという企業が多いなか、企業の課題を解決するために構築したシステムが結果的にIoTとなった」と語る。

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 「現在、IoT(Internet of Things)がバズワードになっている。しかし、何が問題かというと、多くの企業が“何をしたらいいか分からない”ことだ。当社の取り組みは、企業の課題を解決するために構築したシステムが結果的にIoTとなった」――。


岡田一成氏

 日本ナショナルインスツルメンツ(NI)でシニアテクニカルマーケティングマネジャーを務める岡田一成氏はこう語る。日本NIは2016年5月12日、カスタム計測器「CompactRIO」を活用したIoTシステムが、工事現場の電力を約2割削減したと発表した。

 IoTシステムが試験的に導入されたのは、建築/土木事業を行う錢高組の高松自動車道志度トンネル工事現場である。錢高組は、トンネル工事で「安全性の確保」「消費電力の削減」の2つの課題を抱えていたという。

 安全性では、坑道の入り口にある“名札”が表なのか裏なのかといった方法で入坑管理を行う現場が今でも少なくない。また、安全性を確保するには、工事用の照明や換気ファンなどの電子機器を昼夜通して使用するため、多くの電力も消費していた。つまり、安全性の向上とともに消費電力を削減するシステムが求められていたとする。

消費電力を自動的に削減する仕組みを構成

 そこで、日本NIのパートナーであるイー・アイ・ソル、錢高組は共同でシステムを開発。同システムは、工事現場の事務所などに設置したサーバと、IPアドレスが割り当てられた複数のCompactRIOで構成されている*)。CompactRIOは、入坑者を検知するRFIDリーダ、粉じんやガスの濃度を測定する濃度計、各電子機器の稼働状態を監視する電力計を備えており、取得したデータをネットワークでつながっているサーバに送信する(ソフトウェア部分は、日本NIの開発環境「LabVIEW」で開発している)。

*)CompactRIOの詳細についてはこちらから:カスタム計測器で現場監視、コスト削減に貢献へ


イー・アイ・ソルと錢高組が共同で開発したシステムの概念図 (クリックで拡大) 出典:日本NI

 サーバは取得したデータの分析/処理を行い、その結果に応じて照明や換気ファンを制御するための指示をCompactRIOに送信することで、電子機器の制御を行う。これにより、消費電力を自動的に削減する仕組みができる。

 また、各人が携帯するRFIDタグを利用することで、入坑管理の電子化を実現。誰がどこにいるのか、坑内をどのように移動したかを記録することができる。

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