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8インチ基板でGaNデバイスのコスト競争力を強化フランスのGaN専業メーカー(1/2 ページ)

パワーエレクトロニクスの最新技術が一堂に会する「PCIM Europe 2016」(2016年5月10〜12日、ドイツ・ニュルンベルク)で、フランスのGaNパワーデバイスメーカーExaganが、8インチ(200mm)のGaN on Siウエハーや、耐圧650VのGaN FETなどを展示した。

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Exaganでプレジデント兼CEOを務めるFrédéric Dupont氏
Exaganでプレジデント兼CEOを務めるFrédéric Dupont氏

 GaNパワーデバイスの専業メーカーであるフランスのExaganは、ドイツ・ニュルンベルクで開催されたパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe 2016」(2016年5月10〜12日)に出展し、同社のGaN on Siウエハー(Siウエハー上にGaNを結晶成長させたもの)や、GaN FET「G-FET」を紹介した。

 GaN FETについては、まずは耐圧650V品を2016年中にサンプル出荷する。次のステップとして1200V品の開発も進めている。1200Vの耐圧を持つ次世代パワーデバイスは現時点ではSiCが多く、GaNは耐圧600V以下の場合が多い。だがExaganでプレジデント兼CEOを務めるFrédéric Dupont氏は、GaNでも耐圧1200Vへの要求は高いと述べる。

 Exaganは、SOI(Silicon on Insulator)ウエハーサプライヤーであるフランスSoitecと、フランスの研究開発機関CEA-Letiからスピンアウトして誕生した企業だ。現在の従業員は15人である。SoitecおよびCEA-Letiとは今でも深いつながりがあり、両社はExaganに出資している他、ExaganはCEA-Letiの研究開発センターの設備を自由に使用できるという。

8インチウエハーでコスト競争力を上げる

 Exaganは、Soitecから引き継いだ「G-Stack」という技術を用いて、Siウエハー上にGaNを結晶成長させている(以下、GaN on Siウエハー)。GaNとSiの熱膨張係数には大きな差があるため、GaNの結晶を成長させたあとに冷却する際、歪みが生じてクラックが生じてしまう。これを解決するため、「歪み制御技術」が開発された。冷却の際に生じる歪みとは逆の方向の歪みをGaNの層にあらかじめ与えておき、冷却時の歪みを相殺するというものだ。G-Stackにも、この歪み制御技術が用いられている。Dupont氏は、「歪みを正確に制御する技術であるG-Stackによって、極めて平らな表面を持つGaN on Siウエハーを作製できる」と説明する。

「G-Stack」の模式図
「G-Stack」の模式図。紫色の層が、歪みを制御する「歪み制御層」になる 出典:Exagan

 Exaganでは、8インチ(200mm)のSiウエハーを用いることが最大の特徴だ。「8インチ基板を使うのは技術的に極めて難しいので、これを実現できるメーカーは少ない。これはSoitecの技術を引き継いだ当社の強みでもあり、GaNデバイスのコスト削減にも大いに貢献するだろう」(Dupont氏)。特にSiC製品が多くを占める耐圧1200V品では、コスト競争力が強いとみている。SiCでは4インチから6インチに移行している段階で、8インチは開発段階にあるからだ。

Exaganの8インチGan on SiウエハーGaNデバイス 左=Exaganの8インチGan on Siウエハー/右=同社の650V製品群。抵抗とパッケージが異なる複数の品種が展示されていた(クリックで拡大)

 GaN on Siウエハーの欠陥密度については、Dupont氏は具体的な数値は明かさなかったが「当社のGaN on Siウエハーは、LED向けに使われるGaN on Sapphire(サファイア)ウエハーと同等の品質を実現している」と説明した。

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