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SiCを取り巻く環境、「この2年で変わった」PCIM Europe 2016(1/2 ページ)

ドイツ・ニュルンベルクで開催されたパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe 2016」(2016年5月10〜12日)に出展した米国のUSCi(United Silicon Carbide, inc.)は、SiCパワー半導体に対する認識がここ数年で大きく変わったと語る。

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 USCiは、その社名通り、SiCパワーデバイスの専業メーカーだ。米国ニュージャージー州のラトガース大学(Rutgers University)が1999年に立ち上げたSiC ResearchがUSCiの前身で、以降、SiCショットキーダイオードやJFETの開発を続け、2014年1月から本格的に製品を市場に投入している。現在の従業員は約30人で、株式非公開企業である。

USCiの歴史
USCiの歴史(クリックで拡大) 出典:USCi

 現在の製品ラインアップは耐圧1200VのSiC-JFET、同650V/1200VのSiCショットキーダイオード(SiC-SBD)がある。4インチSiCウエハーで製造しているが、USCiのビジネスマーケティング シニアディレクターを務めるJohn Bendel氏によると2016年第3四半期には6インチウエハーへの移行を開始するという。「6インチウエハーへの移行はSiCパワーデバイスの価格を下げるためにも非常に重要だ」と同氏は説明する。

SiCカスコードデバイスに注力

 さらにUSCiは、SiCカスコードデバイスを2016年第2四半期に発表する予定だという。SiC-JFETはノーマリーオンの動作をするので、ノーマリーオフにするためにシリコンのMOSFET(Si-MOSFET)とカスコード接続したデバイスを提供するのである。Bendel氏は、このSiCカスコードデバイスがUSCiの製品群の中核になるという。耐圧1200Vと650Vでオン抵抗が異なる計3品種があり、サンプルは問い合わせをして入手可能になっている。

 USCiのSiCカスコードデバイスでは、30V Si-MOSFETで1200V SiC-JFETを制御する。SiC-MOSFETは、複数のメーカーが既に市場に投入している。Infineon Technologiesも、同社としては初となる耐圧1200VのSiC-MOSFETをPCIM Europe 2016で披露した。Bendel氏は、SiC-MOSFETに対する同社のSiCカスコードデバイスの利点として、「使われているSiCの量が2分の1なので低コストだ。さらに、一般的なSiC-MOSFETのゲート・ソース間電圧が20Vだが、SiCカスコードデバイスは標準的な12Vだ。そのため、これまで使用していた駆動回路の設計を変える必要がない」と説明する。

SiC MOSFETとSiCカスコードデバイスの比較SiC MOSFETとSiCカスコードデバイスの比較 一般的なSiC-MOSFETとUSCiのSiCカスコードデバイスの比較(クリックで拡大) 出典:USCi

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