半導体業界、“細分化”から“統合”へ:ムーアの法則がけん引してきた歴史の中で(1/2 ページ)
半導体業界の歴史において、2015年ほど大規模な企業統合が繰り返された年はなかっただろう。ムーアの法則を維持すべく新しい技術を生み出してきた半導体業界では、どちらかといえば、企業は“細分化”する傾向にあったからだ。
2015年の世界半導体業界は、驚くほど大規模な合併買収の波に襲われた。発表された買収案件の総額は1600億米ドルに達し、このうち1000億米ドルを超える取引が既に完了している。これは、半導体業界において1年間当たりの合併買収金額が過去最高だった年と比べると、6倍以上にもなる。
このような合併買収の流れは、当然のことだといえる。半導体業界は、既に60年以上の歴史を刻んでおり、成長率は伸び悩んできている。これは、多くの成熟産業に共通した傾向だ。電子機器の売上高全体に占める半導体の割合は、ここ20年ほどの間、比較的横ばいの状態にある。業界が成熟するに伴い、合併買収による企業統合が徐々に増加していく中で、半導体業界は変化する必要があるのだろうか。
これまでは“細分化”だった半導体業界
ただ、半導体業界にとってこれほどの規模の統合は、新しい現象といってもいい。過去数十年間にわたって急激なイノベーションが起こってきた半導体業界は、どちらかといえば細分化される傾向にあったのだ。
1966年の世界半導体売上高では、Texas Instruments(TI)とFairchild Semiconductor、Motorolaの3社が全体の約70%を占めていた。しかし1972年には、これら3社の合計市場シェアは53%に縮小している。現在、世界第1位の半導体メーカーであるIntelの市場シェアは約15%で、これは1972年当時に世界第1位の座にあったTIのシェアと比べると、わずか2%大きいだけだ。
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