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電池内部の反応不均一現象の発生要因を解明自動車用電池への適用で、長距離走行も可能に(1/2 ページ)

京都大学の内本喜晴教授らによる研究グループは、リチウムイオン電池内部の反応不均一現象を可視化し、その発生要因を解明した。この研究成果を適用すると、走行距離が長く、高い安全性を備えた自動車用リチウムイオン電池の設計が可能になるという。

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 京都大学大学院人間・環境学研究科の内本喜晴教授と折笠有基助教(現在は立命館大学の准教授)らによる研究グループは2016年5月、立命館大学や産業技術総合研究所(産総研)、KRIらと共同で、リチウムイオン電池内部の反応不均一現象を可視化し、その発生要因を解明したことを発表した。より科学的な見地から高性能な電池設計が可能になるとみている。

 リチウムイオン電池の性能に影響を与える因子として、電池内部の反応不均一現象が関与していることはすでに予測されている。しかし、実験的にそれを検証し解析するツール類はほとんどなかったという。このため設計者は、電極構造をトライ&エラーによって最適化しつつ、性能の向上を図ってきた。


リチウムイオン電池合剤電極の模式図 (クリックで拡大) 出典:京都大学他

 研究グループは、電極内部で発生する現象を直接観測することにより、特性支配因子を明らかにした。今回の研究ではまず、反応不均一現象を可視化するため、2次元イメージングX線吸収分光法を用いて直接測定を行った。また、リチウムイオン電池の電極における、電子伝導率とイオン伝導率を分離して計測する手法も開発した。

 具体的には、組成が同じで電池性能が異なる複数のリチウムイオン電池の電極を用いて解析を行った。そうしたところ、電極内部の反応不均一性はイオン伝導によって決まり、これが性能に大きく影響していることを突き止めた。


同じ組成で空孔率が異なるリチウムイオン電池合剤電極の断面における2次元イメージングX線吸収分光測定の結果 (クリックで拡大) 出典:京都大学他

 X線吸収分光法を用いると、リチウムイオンの出入りに伴う遷移金属の酸化還元を利用した電極活物質の価数を見積もることができる。今回は2次元化した検出器を使用して、合剤電極中の位置ごとの充電状態をマッピングした。放電途中で取り出した合剤電極断面の反応不均一マッピングでは、合剤電極中の隙間(空孔率)が大きい電極だと反応が均一に進行した。ところが、空孔率の小さい電極だと、電極/電解質の界面から優先的に反応が進み、内部に大きな不均一性が生じることが分かった。

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