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人身事故に遭わない秘策は“都会に住むな”!?世界を「数字」で回してみよう(30) 人身事故(10/10 ページ)

皆さんは、一体どこの誰が人身事故を起こしているのだろうと考えたことはありませんか? 丹念に分析して人身事故の“分布図”を眺めてみると、発生場所が相当偏っていることが分かります。

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後輩レビュー

江端:「ほらな。みんな、人身事故に腹を立てていて、その当事者に腹を立ているだろう? 私は、社会の『特異点』でもなければ『異端者』でもないだろう?」(冒頭のアンケート結果を見せながら)

後輩:「いや、同意できません。このアンケートは、江端さんのゆがんだ知性に共鳴できる一部の数理研究者か、または、江端さんのコラムに『ミスリーディング』された善意の被害者です」

江端:「……」

後輩:「何て言うんでしょうねえ、今回のコラム、前半は結構、フンフンとうなずきながらサクサクと読み進めていけたんですけどね、中盤あたりからだんだん腹が立ってきてしょうがなかったですよ」

江端:「なんで?」

後輩:「江端さん。今回のテーマはなんですか?」

江端:「『人身事故』だけど」

後輩:「そうじゃなくって」

江端:「『飛び込み自殺』?」

後輩:「何言ってんですか」

江端:「『人の死』」

後輩:「そうです。『人の死』です。とても考えさせられる大切なことです。江端さんには分からないでしょうが」

江端:「はあ」

後輩:「なんかねえ、江端さんごときに『人の死』を語られるようで、不快なんですよ。分かりますか?」

江端:「いや、まさに、『人の死』をデータ解析の材料として、語っているんだけ……」

後輩:「今回の文章は、『人の死』に対する人としての態度と言うか畏怖と言うか、そんなものがなくて、数字を書いてるだけで不快なんですよ」

江端:「そう言われてもな――、この連載の題目は「世界を「数字」で回してみよう」だしなぁ。『人の死』を数字で振り回しているのは事実だけど、そこを非難されると、この連載では何も書けんぞ」

後輩:「分かりませんかねえ。何度も言ってきましたが、江端さんのコラムには『愛』がないんですよ『愛』が。愛を込めて書くべきです!」

江端:「ええ―――、「数字」に「愛」を込めるのか? そりゃ無理じゃないか?」

後輩:「まぁ確かに江端さんには無理でしょうね。みんな分かっています」

江端:「・・・」

後輩:「まあ、『愛』の問題は、今後の課題としてせいぜい頑張ってください。そんなことより江端さん。「江バ電」ですよ、「江バ電」。期待していますよ「江バ電」。最高に楽しみにしていますよ。私、鉄道オタですからいい加減なシミュレーションなんて許しませんからね、覚悟しておいてくださいよね」

江端:「お、おう。分かっ」

ガチャン、 ツーツーツー


Profile

江端智一(えばた ともいち)

 日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。

 意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈(しれつ)を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。

 私生活においては、辛辣(しんらつ)な切り口で語られるエッセイをWebサイト「こぼれネット」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。



本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。


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